なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

病院総合診療学会~続き

2016年09月19日 | Weblog

「HIV~総合診療科でHIV感染症をどのようにして見つけるか?」 HIV感染患者数は頭打ちで減ってはいない。CD4リンパ球数700~1000を保つ。現在は抗原抗体スクリーニング検査なので拾い上げに充分。確診はウェスタンブロット法でRNA定量。治療はARTで、2012年から全例治療。診断のきっかけは、1)急性HIV感染症、2)たまたまスクリーニング検査で陽性、3)患者さん自身が心配で検査、4)STDの既往から検査、5)AIDS発症。急性HIV感染症は、特異的な症状はなし。感染後2~6週で発症、症状は数日~10週間だが2週間以内が多い。鑑別は伝染性単核球症(IM)・A型肝炎・B型肝炎・梅毒・インフルエンザなど。IMの原因ウイルスは、EBV(42%)、CMV(27%)、HIV(3%)で前者2つが陰性の時に検査。とにかく疑ったらHIV検査。HIV感染+日和見感染・AIDS指標疾患=AIDS。リンパ腫はCD4値に関係なく健常者の10倍発症。

「膠原病」 演者の照屋周造先生は症状の組み合わせをクリアカットに説明された(今後注目したい先生、著書はまだないようだ)。他科からリウマチ膠原病科への紹介は、1)抗菌薬で解熱しない、2)NSAIDsで疼痛が改善しない、3)抗体検査したら陽性、が多い。もう少し検討をつけてからの紹介希望と。膠原病は病理学的な名称で、「リウマチ疾患rheumatic disease」がお勧め。患者さんを不安にさせないためには、1)病気の知識を持って、2)病態には個人差があること、3)診断・治療に時間がかかること、4)管理可能であること、を伝える。

 膠原病は4つに分類される。1)抗核抗体陽性型、2)関節炎型(関節痛があるが、発熱・臓器障害に乏しい)、3)血管炎型(発熱・臓器障害)、4)自己炎症性疾患型(ベーチェット病や成人Still病で、診断がそろうまで待つ)。診断は病歴(発熱・急性か慢性か)、身体所見(関節症状・皮膚粘膜病変・筋病変)、検査(臓器障害・RF/ACPA、ANA、ANCA)。RAは自己免疫性慢性多発関節炎。手関節以遠は小関節。DIP・1MTPは除外。

 RAの基準を満たさないnot RAのその後は、自然寛解・RA発症・同じが1/3ずつ。対応はpain controlか抗リウマチ薬使用か。治療は、生物学的製剤(専門医へ)・MTX・BUC・SASPで、左にいくほど効果があり、右にいくほど安全性が高い。MTX使用時は(HBV・TBをチェック)。T2Tで寛解か低疾患活動性を目指す。

「神経内科コモンディジーズ」 沖縄県立中部病院の吉田剛先生。クリアな講義だったが、頭が付いて行かず、お勧めの「めまい診療シンプルアプローチ」を購入した。わかったのは脳卒中を疑ったらCTを先にとる。これは確か。以前いた脳外科の先生がMRIで出血を間違えた。心源性脳塞栓・アテローム血栓症・ラクナ梗塞の画像の診かたを説明(正確に覚えていない)。t-PAを使用する時は、大動脈解離をチェックすること。t-PAは使用しないが、脳梗塞と思ったら大動脈解離で頸動脈に及んでいた症例あり。脳梗塞にしては?と思った時は感染性心内膜炎を疑う(特に出血を伴う時)。

 めまいは末梢中枢を問わず、急性の変化は回転性、慢性の経過は浮動感。指鼻試験などは小脳上部の障害で起きるので、小脳下部の症状は歩行させないととれない(小脳梗塞)。救急室でのMRIは脳梗塞を12%見逃す~再検する。片頭痛ではトリプタン製剤を使用するが、基本薬で皮下注薬などの種類があるのはイミグラン、速効性ではマクサルト、アマージは半減期が長い(こくまで少し時間がかかる)。

「女性診療」 妊婦もACLSを施行可能。子宮を左方移動させて下大静脈の圧迫をとる(還流増加)。除細動も施行可能。死線期帝王切開(心停止に陥った妊婦に母体蘇生のため緊急帝王切開)は漫画の「コウノドリ」に描かれていた。女性の下腹部痛は、1)妊娠関連、2)月経周期関連、3)男女ともに起こる疾患。妊娠の有無は、性器出血は月経とは限らないこと、問診はあてにならないことを認識して、尿の妊娠反応で確認する。腹痛+妊娠は、正常妊娠と確定できないうちは、異所性妊娠を考える。妊婦の事故では、腹痛と性器出血を訊く。妊娠中の放射線被曝は50mGy未満で、CTでもOK。MRIは妊娠14週以降で安全だが、それ以前でも安全な可能性がある(アメリカ放射線学会)。放射線に影響によらず、自然奇形が3-5%、自然流産が15%あることを伝えておくこと。妊娠中授乳中の禁忌薬は、スタチン・ACE阻害薬とARB、MTX、ワーファリン、後期のNSAIDs。ワクチン可能。タミフルも可能。造影剤はヨードもガドリニウムも可。演者の水谷佳敬先生が「お母さんを診よう」南山堂を勧めていたので購入した。

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