なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「高齢者のための漢方診療」

2017年10月22日 | Weblog

 今日は内科の当番で午後から病院に出てきた。ちょうど87歳男性のCOPDの肺炎による増悪の患者さんが来ていて、入院にした。日直は大学病院からのバイトの先生なので、このまま病院に泊まって待機する。糖質制限のスライドがまだ途中なので完成させたい。

 「高齢者のための漢方診療」を読んだ。記載されている漢方処方は定番のものだけで特に目新しくはない。「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」の「漢方薬・東アジア伝統医薬品」を担当した先生方なので、漢方のEBMを調べ上げていて、EBMに基づくことと経験的なことをキチンと区別して記載しているのが、この本の意義だ。

 文献検索すると意外にあったそうだが、ほとんどは中国の中医学からの報告だった。中医学では続々と新薬をつくっているそうだ。日本ではすでにあるエキス製剤を使用しているだけで、新薬(漢方の)はほとんど出ていない。

 著者の高山先生の文章は監修の岩田先生に似ている気がする。あとがきに、「日本漢方の現状に警鐘を鳴らした挙句、上層部に疎まれて学会を追われた」、とある。岩田先生以上かもしれない。この部分がこの本で一番興味深いところだった。

 サイエンス漢方の井齋偉矢先生が、今秋漢方の医学書を出すと春の講演会でおっしゃっていたので楽しみにしていたが、まだ出ないようだ。

 

コメント (1)
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