金曜日の昼に、内科新患を担当している先生(大学病院からのバイト)から、患者さん2名の診療依頼が来た。まだ検査結果は出ていないが、入院も含めて診てほしいということだった。
そのうちの一人は8kgの体重減少(半年くらいで)と倦怠感で受診した60歳代後半の女性で、随時血糖312mg/dl・HbA1c12.4%の結果だけ出ていた。膵癌が疑われるので、腹部造影CTを入れたという。
放射線室に患者さんを診に行くと、ちょうどCT中だった。膵癌はなく、胸腹部にはこれといった異常はなかったが、びまん性甲状腺腫がある。CTが終わって、患者さんと対面すると、確かに一見してびまん性甲状腺腫だった。
30年前に他院(甲状腺手術でも有名)で甲状腺機能亢進症の手術を受けているという。亜全摘には見えないが、部分切除ということはあるのだろうか。
そのうち血液検査の結果が出て、甲状腺機能亢進症だった(TSH感度以下、FT3・FT4高値)。(甲状腺機能亢進症の既往歴のためか、症状から必須の検査と判断したのか、甲状腺機能検査が出されていた) 多分Basedowだと思うが、抗体検査の結果をみないと確定はできない。外注検査のTRAB・TSAB(抗Tg抗体・抗TPO抗体も)を提出した。甲状腺が専門の外科医に相談すると、このくらいなら結果が出るまでβブロッカーのインデラルで経過をみていいという。
心電図では心房細動だった。両手を出してもらうと、振戦がある。昨年の健診結果を持参していて、昨年はHbA1c6.4%で一昨年は6.0%だった。甲状腺機能亢進症だけここまで血糖が上昇するか疑問ではある。
診断としては、甲状腺機能亢進症とそれによる糖尿病の悪化、心房細動だった。入院を勧めたが、今日は無理と言われた(隣の市から来ていた)。元気な方で(甲状腺機能亢進による興奮状態もある?)、来週ならというので、4日分の処方を出して月曜日に入院とした。