なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

気管支喘息発作~ホテル住み込み

2021年07月21日 | Weblog

 先週の金曜日(7月16日)の午前中に、突然に呼吸困難が発症したという48歳女性の救急搬入依頼が来た。

 年齢的には何でもありで、5 killer chest painsも含めて何だろうと思った。特に既往歴はないという話だった。

 来院して見ると喘鳴が聴取された。酸素飽和度が95%(室内気)で頻呼吸の割には低下していた。浮腫もないので、心不全ではなく、普通に気管支喘息発作だった。酸素吸入1L/分を開始した。

 胸部X線は異常がなく、心臓はむしろ小さいのは肺が過膨張のせいもあるのか。心電図で軽度のST低下を認めたが、心原性酵素の上昇はなかった。

 ステロイドの点滴静注(デキサメサゾン4mg)とネブライザー吸入を行った。少し経過をみて診察すると、搬入時よりも喘鳴が大きく聴こえた。患者さんは楽になってきたという。

 ということは、搬入時は気管支の収縮で呼吸音が減弱していたようだ。ネオフィリン1Aとデキサメサゾン4mgを追加で点滴静注した。

  

 会話が楽になったところで経緯を訊いた。この方は先月に当地の温泉ホテルに住み込みで来ていた(住み込みの中居さんだった)。その前は横浜で同じ仕事をしていたが、仕事がなくなった。その後こちらに派遣されたそうだ。実家は隣県で東北出身ではある。

 これまで気管支喘息の既往はなかった。10日前から息を吐く(呼気)のがひどかった。1週間前から動くと息苦しいのでホテルの仕事を休んでいた。5日前からは息を吸う(吸気)のもひどくなったという。夜間は横になって寝られなかった。

 咳は出ていたが、喘鳴(ゼーゼーする)という自覚はなく、呼吸が苦しいという認識だった。その日は「午前5時に起きて、洗面しようとして、突然呼吸が苦しくなった」と救急隊に伝えたので、救急隊はそのまま病院に伝達したのだった。

 正確には10日前から喘息発作が生じて(それ以前からあったのかもしれないが)、症状が続いて、いよいよひどくなって救急要請したということだ。

 

 入院後に喘鳴は軽度になったが、週末になるので、土・日・月はデキサメサゾン4mg点滴静注として、月曜には喘鳴が消失した。救急ステロイド(ICS/LABA)は月曜日から開始するので、火・水とデキサメサゾン2mg点滴静注として、全身ステロイドは中止予定とした。(吸入ステロイドは効くまで4日はかかる)

 内服薬はいつものテオフィリン400mg分2とモンテルカスト10mg分1を併用とした。ホテル住み込みだと要は一人暮らしと同じなので、この連休中は入院継続として、来週の月曜に退院予定とした。

 

 救急室の看護師さんが、ホテル住み込みというのは(人生に)わけありの方が多いですよね、と言っていた。連絡先について普通に訊くだけで、これまでの生活について詳しく訊いたりはしないが。

 

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