火曜日に70歳女性が発熱外来を受診した。型通りCOVID-19が行われたが(陰性)、この方は緑膿菌肺炎だろうと予想された。
カルテ記載を見ると、2013年から当院の呼吸器外来(外部の医師担当)に、びまん性汎細気管支炎(DPB)で通院していた。副鼻腔炎があり、耳鼻咽喉科で手術を受けた既往がある。
手術したのは県庁所在地にある病院だが、耳鼻咽喉科が有名なところなのかはわからない。現在は耳鼻咽喉科には通院していないが、呼吸器外来でクラリスロマイシンと去痰剤が処方されているので、受診しても吸引をするくらいだという。
それなりに安定していたようだが、今年になって2回肺炎、それも緑膿菌肺炎で入院していた。内科の若い先生(2人の女性医師)が担当していて、抗菌薬はゾシン(PIPC/TAZ)が使用されていた。
喀痰培養から有意な菌は緑膿菌だけが検出されて、耐性はなく、通常の抗緑膿菌用の抗菌薬に感受性があった。入院・抗菌薬投与が頻回になると感受性の変化(耐性化)が危惧される。
胸部X線・CTで両側肺野にびまん性に粒状影が多発していて、一部に浸潤影があった。両側下肺野には気管支拡張もある。
酸素飽和度は89~90%(室内気)で、酸素吸入1L/分を開始して入院とした。食欲も低下しているので、500mlの点滴も使用する。
前回の緑膿菌の感受性検査ではPIPCも効くが、通常の肺炎として(他の肺炎を来す菌種を考慮すると)PIPC使用はないので、第4世代セフェム(当院はセフェピムがなく、セフォゾプラン)で開始した。今回の喀痰培養で感受性のある緑膿菌が単独で出れば、PIPCにde-escalationするのもありだ。