なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

透析とレムデシビル

2023年02月17日 | Weblog

 透析患者さんたちも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患している。通院の透析患者さんだと、内服ではニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド)は使用できないので、モルヌピラビル(ラゲブリオ)が処方される。

 今回のように院内でクラスターが出ると、入院している透析患者さんも数人COVID-19 に罹患してしまう。軽症相当でも抗ウイルス薬の効果を考えると、レムデシビル(ベクルリー)点滴静注を使用したい。

 

 「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」(2月10日に第9.0版になった)によれば、「 eGFR<30mL/min未満の患者: 投与は推奨しない. 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を考慮すること. ある。

 「透析患者におけるレムデシビルの有効性のエビデンスは限られているが, 忍容性は一般に高いと考えられる.」と上記に若干矛盾したような記載になっている。「ローディングは行わず, 100mgを透析4時間前に投与最大6回まで, などの投与法が報告されている.」とある。

 

 大学病院感染症内科から来ている先生(呼吸器外来として来ている)に伺った。透析患者に対する記載がなかった時は、「初日のローディングはしないで(初日から100mg)、それ以外は普通に投与していました」、ということだった。

 「透析4時間前に」などは不要だとも言っていた。しかし手引きにその記載があるので、「初日のローディングはしないで(=初日から100mgで投与)透析日は透析4時間前に、非透析日は普通に投与している」、という。

 「腎機能障害で問題になったことはない」そうだ。透析例に使用した論文で肝機能障害を来した例が載っていたので、それも訊いてみたが、「1例問題になったことがあるが、ほとんど問題にならない」そうだ。

 

 レムデシビルの評価は、米国では効く(製薬メーカーが米国)、WHOでは効かない(中国に配慮)というところから始まった。その後は効果があることが確定されて、今のところそれを上回る薬はない。後から評価が高くなるという薬剤なのだった。

 

 

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