金曜日の午前10時に市内のクリニックの先生(市医師会長)から電話が入った。通院している67歳男性がゼーゼーして、酸素飽和度が92%だという。喫煙者だった。
前夜に地域の基幹病院を受診したが、「喫煙者はダメといわれて帰された?」とも言っていた。詳しくはわからないが、禁煙を指示されて、喘息発作に準じて外来治療をしたということだろう。入院治療のため受診してもらうことにした。
精神遅滞の方たちが共同生活する施設を担当している看護師さんがいっしょに来ていた(連れてこないとひとりでは受診できない)。
喫煙はやめるように言われているが、やめていない。以前脳出血で入院した時に、喫煙できないのに怒って、退院扱いになったことがある。(視床の小出血なので、外来で診た腎臓内科医が当院入院で担当)
クリニックには高血圧症とCOPDで通院している。高血圧症はARB+Ca拮抗薬で、COPDにはβ2刺激薬の貼付剤とLT受容体拮抗薬が処方されていた。(吸入薬は使えないと判断された?)
微熱があったので、発熱外来扱いでコロナとインフルエンザの検査(いずれも陰性)をしてから診察した。聴診上はwheezeとcoarse cracklesが混じったような音が聴かれる。酸素飽和度は95%(室内気)だった。
白血球9000(ふだんから10000前後)・CRP5.7と炎症反応が軽度上昇している。胸部X線・CTでは気腫性変化が軽度にあり、両側肺野にべたっとした浸潤影はないが、粒状影・斑状影が散在しているように見える。
普段の状態がわからないが、「慢性閉塞性肺疾患(COPD)の気道感染症(気管支肺炎)による急性増悪」なのだろう。通常は入院治療だが、診察した時から「入院はしない」と何度もきっぱりと言う。連れてきた看護師さんにも説得してもらうことにした。
直前に入院した患者さんの指示出しをして、戻ってくると、「入院でお願いします」と言っていた看護師さんもあきらめたようで、「通院でお願いします」となっていた。(小太りで筋力はあるので、抑制しての入院もできない。理解力に問題はあるが、そもそも本人の意志に反することはできない。)
外来で抗菌薬(セフトリアキソン)とステロイド薬(デキサメサゾン)の点滴に連日通ってもらうことにした。
連れてきた看護師さんは、当方が以前勤務していた病院に勤務していた。脳性麻痺・精神遅滞のお子さんがいて、大きくなってきて施設から自宅に戻るようになり、その世話のために退職していた。
その後10年以上経って、現在は共同生活(小規模なグループホーム)している精神遅滞の方たちの世話をしている。(らしい。会うのは患者さんたちの受診で連れてきた時だけなので。)