なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

コロナの検査はいつまで陽性?

2023年03月21日 | Weblog

 月曜日の午前中に内科再来を診ていると、感染管理ナースから連絡が入った。その日に当院から地域の基幹病院に転送となった患者さんがコロナ陽性だったという。

 いつもより外来数が多かったが、幸い病状の悪化した患者さんはなく、順調に終了した。改めて転院後コロナ陽性の事情を聞いて確認した。

 

 先週の木曜日に隣町の内科医院から喘息発作の45歳女性が紹介されてきた。医院で行った、COVID-19とインフルエンザの迅速検査は陰性だった。内科の別の先生が担当して入院としたが、入院時に行うコロナの検査は省略していた。(行うとしても医院と同じ検査キットになる)

 1週間前から喘息発作が続いて、医院を受診していた。患者さんは手持ちのICS/LABAを使用して様子をみていたが、良くならなかった。(ふだんからきちんと吸入しているかは不明)

 医院での酸素飽和度は90%(室内気)で、頻呼吸でその値なので、中等症以上になる。症状の期間からは重積発作になる。胸部X線で肺炎像はなかった。

 担当医の話では入院後は症状が軽快していたが、月曜日の朝に急に増悪したということだった。(酸素5L/分を要した)

 

 担当医と外来と入院時で担当した看護師さんたちの、どこまでを濃厚接触者とすべきかと相談していた。週末だったので、病棟看護師の相当数が接触していた。

 すると担当医がやってきて、「今、基幹病院から連絡が来て」と報告された。基幹病院では、コロナのPCR検査で陽性と判明したが、抗原定性検査は陰性だった。従って、「以前のコロナの感染であり、今回はコロナの罹患者ではない」、と判断したということだった。

 患者さんの家族が先月にコロナに罹患して、患者さん自身も体調が悪かったが(この時罹患していたと判断された)、受診はしてなかった。

 

 PCR検査はウイルスの遺伝子を検出するので、ウイルスの感染性があるかないかの判断はできない。PCR検査は、感染から平均17日後、最大83日後まで陽性になるそうだ。当院での最高記録は、発症後56日目まで陽性だった患者さんがいた。

 抗原定性検査はウイルスの蛋白質を検出する検査で、有症状者(発症から9日目以内)の診断に用いられる。感染後(あるいは発症後)何日目まで陽性に出るという記載はないが、発症後10日目以降にも使用可能だが、陰性の場合はPCR検査(または抗原定量検査)を行うとなっている。

 抗原定性検査は、無症状陽性者の療養解除や、濃厚接触者の隔離解除にも用いられている。感度が低く、ウイルス量が低いと陰性になるから、感染後の陰性はウイルス量が低下していることを示している。(感染性がないとはいえない。感染後の経過日数で判断される。)

 PCR陽性・抗原定性陰性は、少し前(感染後の隔離期間以上前)に感染したという事実があれば、「少し前の感染であり、現在は感染していない=現在は治癒後」という証明になるかもしれない。

 (少し前に感染したという事実がなければ、単にPCR検査は感度が高いので陽性だが抗原定性検査は感度が低いので陰性=現在罹患中、ということなる。) 

(倉原優先生のYahoo Newsから)

図2. 新型コロナの検査陽性期間(参考資料2より引用)

 

 

 

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