木曜日の当直の時に、54歳男性の救急搬入依頼が来た。その日の午前中に当院の外科外来(大学病院外科から応援)を受診していた。臍部の皮膚軟部組織感染症で治療を受けたという。
その部位の痛みがひどくて救急要請したという。統合失調症で精神科病院に通院しているという情報もあった。
外科の常勤医は現在不在で外科処置を要する入院はとれない。日中に当院で診ているので、断れないが、診て見ないとわからない。局所麻酔下に小切開したが膿は出なかったと記載されている。
救急搬入後にトイレに行きたいといって、歩いて行けたので、病状として悪化しているわけではなさそうだ。皮膚表面からは発赤・腫脹していて硬結に勝っているが、膿瘍はない。
体温が37.4℃で、皮膚幹部組織感染症によるが、当直の看護師さんはコロナの検査を用意していた。(発熱患者は発熱外来扱いとなり、呼吸器症状がなくてもコロナの検査から入る)結果は陰性。
点滴を入れて時間外でできる検査(試験紙使用の簡易検査)を行うと、白血球12500・CRP2.1と炎症反応は上昇している。内科医院に高血圧症・糖尿病・脂質異常症で通院している。それぞれ1剤ずつ内服していて、HbA1cは6.5%ということだった。
化膿巣の広がりを見るためにCTを行った。表面から見るよりは現局していた。腹筋まで波及はしているようだ。
外科外来では抗菌薬の内服(オグサワ=オーグメンチン+サワシリン)が処方されていたが、鎮痛薬の処方はなかった。アセリオ注を行うと痛みは軽快した。
入院して抗菌薬投与を行うか訊いてみると、入院はしたくないという。帰宅になるので、抗菌薬点滴静注はセフトリアキソンにした。カロナール500mg錠3錠分3を処方した。
外科外来では有事再来としていたが、翌朝の状態で症状が強い時は外科外来をその日に受診すること、症状が軽快しても翌週の外科外来(月曜はないので火曜日)に受診するよう伝えた。(火曜日は元当院常勤医)
翌金曜日は受診していなかったので、痛みは自制可だったのだろうか。
検査結果が出るまでの間に統合失調症のことを訊いた。市内の精神科病院に通院していた。当然だが若い時の発症で、何度か治療を中断して病状が悪化したという。今は一生ものの病気と認識していて、きちんと通院している。
高血圧症も糖尿病も治して終わりではないので、一生もので同じことですと伝えると、妙に納得していた。