なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肛門挙筋症候群

2018年04月05日 | Weblog

 今日の午前中は救急当番だった。84歳女性が心肺停止で救急搬入された。家族は救急隊が到着するまでの15分間に何もしていない。救急隊到着時は心室細動を認めて、AEDを作動させたが効果はなかった。心静止で心肺蘇生術を行いつつ、搬入されてきた。喉頭までの挿管による人工呼吸、点滴とアドレナリン静注が行われていた。

 搬入後もPEAにもなったり心静止になったりで、アドレナリンを2回追加して心肺蘇生を継続したが難しい状況だった。ところが、その後思いがけず弱い脈拍が触れ始めて、下顎呼吸様の動きが見られた。血圧70mmHg。人工呼吸を継続したが、意識はなく瞳孔も改善しなかった。

 以前当院の循環器科に通院していたが、廃科となった時に、循環器科の開業医に紹介になった方だった。新任の循環器科の先生に依頼した。家族と相談の上、人工呼吸器を装着して、病棟に上がったが、結局その後数時間くらいで亡くなった。先月地域の基幹病院循環器内科に心不全の増悪で入院しているが、その時は浮腫が増加したそうだ。今回は浮腫を認めず、心室細動そのものによるのでは、という話だった。

 

 73歳男性が頭痛で救急要請したと連絡がきた。昨夜嘔気・嘔吐があり、頭痛・めまいがしたと言っていた。意識は清明で、その時は頭痛はなく、めまい(浮遊感)を訴えた。頭部CTは異常はなく、念のため頭部MRIも行ったが、新規の脳血管障害はなかった。

 血液検査で予想外の炎症反応上昇があった。発熱はなく、胸部症状はなく、腹部の症状もなかったが、この方は人工肛門が造設されていた。以前からあるが直腸指診で肛門の激痛を訴えて、途中でやめるようになる。肛門周囲膿瘍などを疑って胸腹部造影CTを行ったが、腹腔内のは問題がなかった。左下葉背側に浸潤影があり肺炎があった(胸部単純X線でもぼやっと若干の陰影があるようにも見える)。

 人工肛門造設なので、最初は直腸癌術後かと思ったが違った。難治性の便秘と肛門痛(膀胱痛も)があり、消化管疾患で有名な病院で検査して、肛門挙筋症候群と診断されていた。「肛門挙筋症候群」?。

 患者さんの強い希望で、当院で人工肛門造設が行われた(担当医は大学病院へ移動)。たぶん診断した病院では手術に応じなかったのだろう。様々な治療が記載されているが、人工肛門というのは一般的ではないかもしれない。

 せっかくの手術後も肛門痛は続いていた。手術の前後に複数のペインクリニックを受診したが、効果のある治療はなかったそうだ。現在慢性疼痛としてトラムセット・リリカ・モルヒネが処方されていた。現在の外科外来担当医も、前の先生から引き継いだものの、外来で診察に来るたびに困っているという。

 内科としては肺炎の治療をして経過をみる。肛門挙筋症候群という病気があるとは知らなかった。とりあえず、外科外来の処方は継続とする。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 膵癌 | トップ | Cameron lesion »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事