なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺炎、副腎不全、胆管癌

2012年03月06日 | Weblog
 朝、当直だった外科医から連絡があり、午前7時過ぎに発熱・喘鳴で受診した80歳台女性がいて、胸部X線・CTで左肺炎があるという。肺全体に気腫性変化を認めるが、喫煙歴はない。確かに喘鳴を聴取する。神経内科にアルツハイマー型老年認知症で通院しているが、その場の会話は可能だ。血液ガスは酸素分圧80、二酸化炭素分圧30(酸素2L/分)。外来でネブライサー(べネトリン)とネオフィリン・デカドロンの点滴、さらに抗生剤(ロセフィン)を1回入れてから入院とした。
 内科新患は、直接受診した患者さんの他に、開業医や他の病院からの紹介が5名あって忙しかった。
 60歳女性は、もともと軽度の精神遅滞がある。慢性副腎皮質機能低下でホルモン補充療法(コートリル内服)を続受診さけていた。前回入院は洞不全症候群で心臓ペースメーカー植え込み術を受けた。数日前から低体温・体動困難となった。通院している開業医から電話で連絡が来て、入所中の施設の職員が連れて来た。感染症による急性増悪と思われるが、感染巣がはっきりしない。入院してもらって点滴でホルモン補充(ソルコーテフ)を行って経過をみることにした。1年以上診ていないので、この患者さんのことはすっかり忘れていた。
 90歳台前半の女性が1か月以上前から38℃台の発熱が出没して、近くの病院に通院していた。原因がわからなかったらしく、当院に紹介された。炎症反応上昇と肝機能障害を認める。腹部エコーで肝実質内・肝内胆管内・総胆管内に腫瘤を認め、腫瘍マーカー(CA19-9)が上昇している。胃腸や膵臓の癌からの転移は考えにくく、総胆管あるいは肝内胆管原発の癌が広がったものだろう。胸水・腹水もあり、今のところ、食事もとれて、会話も年齢を考慮すると普通にできる。しかし癌は相当進行しており、予後数カ月だろう。消化器科医が外来の手伝いをしてくれていたが、この患者さんを引き受けてもらった。
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家族の事情を聞くと

2012年03月05日 | Weblog
 外来に通院している患者さんの家族構成を把握する必要があって、時々聞いている。認知症で自分でインスリン注射ができないと、家族で注射してくれる人がいるかどうかが問題になる。また一人暮らしだと、ちょっとした病状悪化でも入院治療にするしかない。
 こちらから聞かなくても、外来に来たついでに家族の話をしていく患者さんもいる。他の病院に通院しているので一度も見たことはないが、患者さんから何度か病状を話てくるので、何となく知っているような気がする。
 今日外来に来た70歳台後半の男性は、奥さんが多発性骨髄腫で血液内科のある病院に入退院を繰り返していた。奥さんが今入院していて、敗血症を起こしてあぶないと言われているんですなどと教えてくれていた。その奥さんが先月亡くなったという。発症から4年だったそうだ。
 また今日外来にきた60歳台前半の女性は、息子さんが悪性リンパ腫で数年前に亡くなっている。これまで何度か亡くなった時の話を繰り返して話していた。その話を聞く前は、うつ傾向があるなあと思っていたが、そういう事情では仕方ないのだった。
 カルテを見ると先月大学からの応援医師の外来を受診していた。肺炎はないと言われたというが、胸部X線で右中葉にスリガラス様の陰影がありそうで、白血球12000・CRP20という血液検査の結果も出ていて、肺炎を起こしていたと思われる。午前中で帰る先生なので、検査結果を見ていないかもしれない。外来で経口抗生剤(クラビット)が処方されていて、結果的にはそれで治ったようだ。食欲がなくて数日点滴に通院していたが、最初から入院治療でよかったのだった。体調が悪ければ翌日再受診して、その時点で入院になることもある。今回は受診が金曜日で、その後土日をはさんだので、入院を考慮する機会がないまま経過してしまったようだ。
 今日はだるさが残っているが、食欲はあるという。肺炎になっていたかもしれないけど、外来治療でうまく治りましたねとお話した。
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当院ががんばる3日間

2012年03月04日 | Weblog
 当院のある医療圏の中心となる病院がコンピューターシステム変更のため、この週末3日間救急対応できないことになった。この病院の救急車搬入は当院の2倍はあるため、相当な負担増が予想されていた。今日聞いた話では土曜日夜に8件の救急搬入要請があり、ふだんの2倍で全部は診れないため、そのうち3件はことわったそうだ。4名が入院になった。
 内科系1名外科系1名も日直担当医師が治療にあたっていた。今日私は内科系の当番のため午前中から病院で待機していたが、当番の循環器科医と当番ではない副院長も来ていた。
 救急休業中の病院に通院している90歳男性が発熱・呼吸苦で救急搬入された。脳梗塞後遺症でふだんから嚥下障害があった。両側下肺野に浸潤影を認め、誤嚥性肺炎と診断した。私の担当で入院となる。両側肺炎なのでけっこうな低酸素だ。
 50歳台女性が急性腎盂腎炎で救急搬入され、循環器科医の担当で入院となった。この患者さんは休業中の病院を木曜日に受診して、急性腎盂腎炎と診断され、抗生剤内服を処方された。状況的に外来で治療したくなる気持ちはわかるが、発熱が続いて食事をとれなくなって当院へ搬入となった。
 やっぱり影響はありましたね。いつもお世話になっている病院なので、あまり文句は言いませんが。
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退院のはずが

2012年03月02日 | Weblog
 80歳台後半女性。脳梗塞。
 感染を契機に気管支喘息発作が続き、地元の診療所から紹介入院となった。酸素吸入・気管支拡張剤・ステロイド・抗生剤の投与で1週間かかったが、喘鳴が消失した。それまで使っていなかった吸入ステロイドを開始した。高齢者はドライパウダーがうまく吸えないので、スペーサーを付けてエアゾルタイプの吸入ステロイド(キュバール)にした。
 トイレまで自分で歩けるようになって、病室の廊下が長く歩きたいので歩行器を貸してほしいと希望した。自宅は寒いというので、2週間くらい病院で過ごしてから退院にする予定だった。
 ところが、廊下を歩いていて突然意識を失って倒れた。他の病棟にいたが、連絡を受けて駆けつけると昏睡状態だった。喘鳴はなく、血圧・脈拍は正常だった。左半身の麻痺があるようにもみえるがはっきりしない。舌根沈下していたので、まずエアウェイを挿入した。呼吸は安定しているが、気管挿管すべきかもしれない。
 脳血管障害、それも突然の発症から脳出血を疑った。急いで頭部CTをとったが、出血はない。続いて頭部MRIを行った。発症後間がないので、脳梗塞の所見が出ないかもしれないが、脳血管のかなり太いところが閉塞しているはずなのでMRAでわかると思った。MRIでは小脳の一部に梗塞巣があり、脳幹部が何だかおかしい。MRAで脳底動脈が閉塞していた。少し時間がたてば小脳脳幹梗塞が出現するはずだ。呼吸が止まるのも時間の問題だろう。せっかく退院するまでになっていたのに。
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ほんとにいるんだ

2012年03月01日 | Weblog
 30歳台前半男性。拒食症。
 開業医からの紹介で極端にやせた男性が受診した。中学生のころから家庭内暴力が始まり、母親に殴る蹴るの暴行を加え、家庭にある家具などを壊して暴れていた。仕事はしないで、自宅にずっといたが、自分で酒を買い物に行っていたという。
 2年前から太っていることを気にし出して(体重70kg台)、下剤を大量に飲み、自分で嘔吐するようになった。体重が減少して30kgになっていた。母親からこのままでは死んでしまうかもしれないと言われたが、どこまで本気で考えたかはわからない。食べてはまた自分で嘔吐していた。
 点滴をしてみたが、点滴のチューブを手に巻きつけたり、看護師の手をつかんで離そうとしなかったり、私が話をすると拳を突き出したりと、対応に苦慮した。経管栄養や高カロリー輸液が必要かもしれないが、受け入れるかどうかはわからない。治療には相当なマンパワーを必要とするし、扱える施設は限定されるだろう。
 とても当院のような一般病院では手におえないので、精神科病院に問い合わせて、拒食症を扱っている専門病院へ紹介してもらうことにした。
 話には聞いていたが、拒食症ってほんとにいるんだと思った。
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