なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

特発性血小板減少性紫斑病

2015年07月21日 | Weblog

 消化器科医からITP(特発性血小板減少性紫斑病)疑いの51歳男性がいるんですが、と相談された。急性胃腸炎で入院した時の血小板数が4.2万だった。1年前の健診で血小板数が9万で、二次検査対象になったらしい。赤血球数・白血球数・血小板分画は異常がなかった。血小板関連IgG(PAIgG)が高値だった。脂肪肝があるが、肝硬変はない。

 10年前に十二指腸潰瘍でピロリ菌の除菌を行って成功したという。今回上部消化管内視鏡検査を行うと、胃粘膜萎縮はなく、十二指腸魁皇瘢痕のみだった。ピロリ菌の尿素呼気試験は陰性で、0.0と出た(0.0はあまり見ない)。ピロリ菌陰性なので、あとは血小板数2万以下あるいは重篤な出血傾向があれば治療の適応になる。骨髄検査で診断を確定して、血小板数をフォロ-することになるのだろうか。

 昨年血小板数9万で、今年4万(2回測定して4.2万と4.4万だった)だとすると、早晩さらに下がっていきそうだ。基幹病院内科に血液内科外来が週1回(大学病院からの応援医師)あるので、そこに紹介してもらうことにした。現在紫斑はないので、正確には免疫性血小板減少症immune thrombocytopenia(これもITP)のなるが。

 もし80歳代以上の高齢者で、そちらに通院するのも困難な場合は当院で骨髄検査を行って(骨髄像の判読は外注)、プレドニゾロンの投与までは行っている。幸いにプレドニゾロン投与で血小板数がまあまあ改善している。90歳の男性がプレドニン5mg/日で血小板数10~11万、89歳女性がプレドニン10mg/日で血小板数7~8万で推移している。後者はステロイド糖尿病になり、超速効型インスリンを1日3回家族(娘さんたち)がしている。昔当院に血液の先生がいた時期があって、その頃から通院している中高年女性も外来に通院している。

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急性胆嚢炎など

2015年07月20日 | Weblog

 昨日は日直で、日直帯の終了間際に右上腹部痛の83歳男性が受診した。4日前から疼痛があったが、我慢していたらしい。発熱もある。右上腹部に圧痛とデファンスを認めた。血液検査を出して、腹部エコー検査を行うと、胆嚢が腫脹して5mmくらいの胆嚢結石を複数認め、debrisも溜まっていた。壁肥厚もある。腎機能を確認して、腹部造影CTを行った。胆嚢壁の肥厚と肝床部の炎症像も目立った。当直の外科医に相談して、外科入院となった。予想されたように抗菌薬投与でまったく症状はかわらず、今日緊急手術となるそうだ。

 

 昨日の内科系当直は若い消化器科医で、内科の入院があった場合指示出しなど頼めるが、病院の当直室に泊まることにしていた。寒いくらい冷房のきいた医局で糖尿病の本を読み返していた。9月に市内で糖尿病の講演会があって、座長を頼まれている。

 昨日は内科で4名の入院があった。94歳女性の上部消化管出血(数日前からのタール便)は緊急内視鏡も考えたが、連休明けに行うことにした。認知症の不穏で病棟の看護師さんが困っていた。

 91歳女性の急性腎盂腎炎は普通に抗菌薬投与で経過を見れる。数日前から食欲がない91歳女性は、通いで世話をしている長女夫婦が連れてきた。長男と二人暮らしだが、長男に介護力はない。右手関節炎(偽痛風?)でかなり痛がっており、さらに1週間以上前に打撲した時にできたと思われる2本の肋骨骨折もあった。少なめの点滴とNSAID内服で入院治療とした。

 前日から発熱があって、嘱託医の指示で抗菌薬を投与されていた79歳男性は発熱が続き、血圧も70mmHg台と低下して救急搬入された。パーキンソンで寝たきり状態になっていて、両側上肢が屈曲固縮していた。急性腎盂腎炎からの敗血症性ショックと判断された。点滴を1000ml入れて血圧が上がってきたところで入院とした。屈曲した上肢の静脈は常に駆血した状態のようになっている(容易に採血できました)。

 病棟の若い看護師さんが夕方に発熱・嘔気・下腹部痛・水様便で受診した。白血球数18000・CRP16と上昇していた。下腹部の疼痛は間欠的だった。圧痛があるが軽度だった。水様便は回数が多いが量は少な目だという。外来に出ていたのが所属している病棟の看護師長さんで、今日その看護師さんは準夜勤務だったので、どうしてもっと早く連絡しないのかと怒っていた。感染性腸炎で良さそうだが、本当に大丈夫かという声もあり、念のため腹部単純CTを撮った(やり過ぎかも)。上行結腸から横行結腸の口側の壁肥厚があるようだ。手術を要するような異常はなかった。「入院したくない、嘔気が治まって水分はとれる」というので、抗菌薬(FOM)の点滴静注を行って、経口薬を処方した。点滴500mlを2本入れて、親に迎えに来てもらうことにした。便培養を提出したが、カンピロバクター?。準夜勤務は看護師長さんの手配で、日勤の看護師さんがそのままやってくれることになったそうだ。

 朝、当直だった消化器科医に会ったが、当直帯での入院はなかったそうだ。午前中は昨日入院した患者さんの状態を確認して、午後は少し調べものをしてから夕方帰宅する予定。

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ここまで育てるとは

2015年07月19日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。63歳男性が両側下肢の浮腫で動けなくなったと救急要請した。今年の1月から便が出にくくなり、便柱の狭小化。血便もあった。すっと病院には行っていない。2週間前から両側下肢の浮腫に気づき、悪化して今日に至った。茶褐色の尿が出ている。

 救急隊から病状を聴いたときに、直腸癌の膀胱浸潤・静脈圧排による浮腫かと思われた。そして搬入されると、病状は予想以上だった。下腹部全体に腫瘤を触知した。やせが目立ち、かなり体重減少があるはずだが、測定していないので具体的にはわからない。直腸指診をすると、不整な腫瘤を触知した。胸腹部造影CTを施行すると、下腹部全体に腫瘤(腫瘍)があった。膀胱に浸潤している。低蛋白もあるが、静脈系を圧排したために両側下肢に浮腫をきたしたと判断される。便汁は肛門から流れてきている。完全閉塞ではなく、かろうじて通っているようだ。嘔気はなく、イレウスとは言えないが、便塊が大分たまっている。意外にも、明らかな肺転移・肝転移はなかった。

 連休明けに上部消化管内視鏡検査と前処置なしで下部消化管検査になるが、肛門鏡で広げても生検できそうだった。切除不能直腸癌と確定すれば、人工肛門造設しての抗癌剤治療だろう。当番の外科医に相談した。CT前に声をかけた時に、まずは消化器科でと言っていたが、CTを見て最初から外科入院でとってくれた(消化器科の検査は半日で終わってしまう)。それにしても、病院嫌いなのか、今時よくここまで育てたと思う。CEAが高いので直腸癌でいいと思うが、悪性リンパ腫はちょっと気になる。

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ジェファーソン骨折(環椎破裂骨折)

2015年07月17日 | Weblog

 昨日の午前中病棟で指示を出していると、外来で内科再来を診ているはずの内科の若い先生が、あわただしくナースステーションに入ってきた。「ぽっきり折れている」と言う。入院していた85歳男性が夜間にベット柵を乗り越えて下に転倒したそうだ。

 陳旧性心筋梗塞・うっ血性心不全で循環器科に、脳梗塞後遺症で神経内科に通院していた。腎機能障害があって、血清クレアチニンが1.5~1.9程度で推移していた。今回は食欲不振が続いて(暑さのせい?)、脱水傾向になり、血清クレアチニンが2.7になっていた。2日前に内科で脱水症として入院して、1日500ml2本の点滴で回復してきていた。入院すると認知症の不穏が目立ち、注意はしていたようだ。ベット柵の上から落ちると結構な高さがある。

 後頸部を痛がっていた。頸胸部CTで頸椎を確認すると、環椎の右前弓と後弓が骨折していた。四肢・体幹の症状はなかった。放射線科の読影レポートにJefferson骨折とあった。脊柱管は保たれている。環椎破裂骨折は外側に広がるため、頚髄損傷はあまりきたさないそうだ。整形外科コンサルトで、頚椎カラーで経過をみることになった。これは初めて見た。

 

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感染性心内膜炎

2015年07月17日 | Weblog

 83歳女性が一昨日の夜間に39℃の発熱で救急外来を受診した。その日は内科当番だったので、当直の神経内科医から電話が来て、肺炎と思われるので入院させたいという。内科入院として、ユナシンSの点滴静注をお願いした。翌日胸部X線・CTを確認すると、明かな肺炎とはいえず(背側陰影?は重力の問題)、患者さん自身咳や痰はないという。尿路感染症・胆道感染症も否定的だった。

 話を聞くと、5月から歯科で断続的に7本抜歯したという。処置の時に抗菌薬(経口)は処方されていたらしい。まあ、普通出すでしょう。ご本人も認める通り、末梢血管が見えにくい人だった。点滴してない方の上肢は、肘静脈が辛うじて見える。看護師さんが採血したが、10mlちょっとで止まってしまった。取れた分だけ血液培養に提出した。嫌気ボトルにちょっとだけ入れて大部分は好気ボトルに入れる。あとは動脈から取るしかなかった。部位的に好ましくはないが、仕方なく両側の大腿動脈から20mlずつ採血した。

 胸骨右縁第2肋間に収縮期雑音が聴取されるが、CTでみても大動脈弁が石灰化していて、加齢による大動脈弁狭窄によるものだ。新規の心雑音があるかどうか判断できない。循環器科(大学病院からの応援医師)で心エコー(経胸壁)を依頼したが、そもそも肥満体型でpoor studyとあり、明らかな疣贅は指摘できませんということだった。

 今日細菌検査室から報告があって、血液培養3セットからグラム陽性球菌が検出されたという。抜歯後の感染性心内膜炎でいいようだ。起炎菌確定までは日数がかかるが、連休明けには判明するだろう。抗菌薬は昨日からセフトリアキソン1g2本の点滴を始めていて、解熱していた。とにかく末梢静脈からの点滴が大変なので、1日1回で済むようにしなければならない。生食ロックがきびしければ、毎日手背静脈に抜き刺しになってしまう。今日右肩関節の痛み(運動時)と右背部痛(筋肉痛)を訴えていたが、これは化膿性ではないと思う。経食道心エコーを行えれば、疣贅を証明できるのかもしれない。

 この前、抜歯後の感染性心内膜炎で入院していた80歳代女性は、血液培養でStreptococcus bovisが検出されて、4週間のセフトリアキソンで治癒した。今回は何が出てくるか。

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肝炎の講演会で聴いてきました

2015年07月16日 | Weblog

 糖尿病と慢性C型肝炎で通院している59歳男性が、前回の外来受診時に、「講演会でC型肝炎の新しい治療の話を聞いてきました」と言われた。消化器病学会に合わせて開かれた一般市民向けの講演会だった。この方は以前インターフェロン治療を受けたが、副作用で中止したたはずだ。当時外来で担当していた先生が、肝臓専門医に紹介していた。

 改めて外注検査を出すと、グループ1型で高ウイルス量に相当した。新しい治療は、この方の場合(インターフェロン不適格例)はインターフェロンフリーのダグラタスビル/アスナプレビル併用療法になる。治療前にY93/L31変異を測定して、変異があれば治療待機か治療に踏み切るかを決定する。。肝硬変にはなっていないので、治療待機できる方ではあるが。来月初めに患者さんが受診した時に結果を伝えて、当地域の基幹病院消化器科の肝臓専門医に紹介して、判断していただくことになる。

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不安があって、うつ状態で、眠れない人

2015年07月15日 | Weblog

 入院していた62歳女性が今日退院した。精神科病院へ紹介状を持たせて、早めに精神科を受診してもらうことにした。

 今月初めに、「頭がもやもやする、胸やけがする、食欲がない、眠れない」という症状を訴えて、救急外来(土曜日の午後)を受診した。2週間前に母親(実母)が亡くなって、しばらく実家で生活していた。そのうち1週間前から症状が出てきたという。日直は消化器科医で、カロナール(アセトアミノフェン)とガスターを2日分処方した。

 翌週の月曜に内科外来を受診した。新患担当の先生(大学病院からの応援医師)は、うつ状態・不眠症と判断して、リフレックス(15mg)1錠、レンドルミン(0.25mg)1錠、ガスターを処方した。そして、その日の夜に不安感を訴えて、午後6時に再受診した。当直は外科医だった。身体的には問題なく、日中に抗うつ薬・睡眠薬が処方されたばかりなので、それで様子をみるようにと話をして帰宅とした。しかし、午後8時にまた受診してきたので、内科で入院とした。

 翌日から内科の若い先生が担当となって、外来処方を継続して経過をみた。入院すると安心したのか、笑顔も見られて、症状も軽快した。4日入院して退院した。夫はすでに亡くなっていて、現在は一人暮らしだった。子供さんたちは3人いて、市内に住んでいる人もいるし、それぞれ行き来はある。

 退院した翌日の夕方に、同様の訴えで救急搬入された。救急当番の循環器科医から連絡が来て、救急室に診に行った。日中の診療時間がちょうど終わるころで、その日時間外の内科当番だった。入院中担当した若い先生に、また来たことを伝えたが、ぜひ診たいという感じではなかったので、自分が担当することにした。義妹と息子さんが来ていたので、精神科受診が好ましいことを説明して、いったん再入院とした。

 セルシン(2mg)2錠分2を追加して、訴えがある時にリーゼ(5mg)1錠頓用とした。入院して病棟に上がると、救急室の不安げな表情はなくなり、笑顔で家族を話をしていた。この地域だと、かかりやすい精神科クリニックはないので、受診するとすれば精神科病院になってしまう。患者さんとしてはちょっと抵抗があるので、少しだけ話を出して様子をみていた。患者さんが行ってみる気になったので、今日退院として紹介状を持たせた。

 病名をどうつけるか迷うが、不安があって、うつ状態であり、不眠もある。これまでこのような症状はあまりなかったので、母親の死亡が影響しているのだろう。病状だけ記載すれば、あえて専門外のものが変な病名をつけることもないのかもしれないが、反応性うつ病の疑いとした。

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高浸透圧高血糖症候群

2015年07月14日 | Weblog

 今日の救急当番は血管外科の先生だった。朝から救急搬入が続いて、いわゆる「当たっている」状態だった。高血糖の67歳女性を診てほしいと連絡が来た。血糖667mg/dl・HbA1c13.1%だった。血清ナトリウムも166と高かった。高浸透圧高血糖症候群(HHS)だった。夫の話では、約1週間前から脱力感・食欲不振があったそうだ。この方は精神医療センターで統合失調症と診断されたというが、現在は通院していない。健診は受けていないので、血糖の推移は不明で、親兄弟姉妹には糖尿病の人はいない?らしい。

 血液ガスでアシドーシスはなかった。呼びかけると開眼して、ごく簡単な会話はできたが、すぐに目をつぶってしまう。頭部CTで左前頭葉内即に脳梗塞巣があり、頭部MRIの拡散強調画像で高信号に出た。脱水・血液濃縮の影響があったのだろうか。

 ヴィーンF500mlの点滴を早めに3本入れて、生食50ml+ヒューマリンR50単位を5ml/時で開始した。血糖が400台になったところで、2ml/時に減量した。搬入時の血清カリウムが4.5だったが、3.5に下がってしまったので、カリウム製剤を混合した。

 夕方に血糖と電解質を再検して、血糖が250前後に下がっていたら、ソルデム3A500mlにヒューマリンR混合の点滴に切り替えて、スライディングスケールのヒューマリンンR皮下注で補正する予定だ。

 外来をやりながらこの患者さんの指示を出していると、もうひとりお願いと言われた。COPDの80歳代男性が肺炎併発で増悪していた。低酸素血症・高二酸化炭素血症があり。今年の1月に同様の病態で入院した時に担当した。その時は頻脈性心房粗細動もあったが、今は内科クリニックで治療を受けていて頻脈ではなかった。一昨日から発熱があり、今日は呼吸困難で同クリニックを受診した。酸素飽和度が70%台と低下していて、そこから救急搬送された。酸素1L/分で酸素飽和度が88~89%になったので、それで継続することにした。喘鳴はないが、抗菌薬(セフトリアキソン)を投与してからデカドロン2mgも入れた。

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今日は入院後の経過をみただけ

2015年07月13日 | Weblog

 昨日の日曜日は内科に4名の入院があった。今日は内科再来を診た後、昨日の新入院を診て、慌ただしく1日が終わってしまった。

 肝管空腸吻合術後の90歳男性は以前も球性胆管炎で入院してことがある。今回も高熱で受診して、肺炎・尿路感染症が否定的であることから、胆道感染症(急性胆管炎)と判断された。抗菌薬投与(スルペラゾン)で解熱していた。もともと、今日が消化器科の外来予約日だったので、担当医に主治医を代わってもらった(そのつもりで消化器科入院にしていたが)。

 COPDのある80歳男性は発熱で受診して、肺炎かと思ったが明らかな肺浸潤影は指摘できなかった。痰が増加していたこと、血液検査で白血球数増加・CRP上昇していたこと、他に発熱の原因らしいものがなさそうなことから、気道感染(細菌性)と判断した。抗菌薬(セフトリアキソン)で今日は解熱して、食欲も出た。

 左膝関節痛と発熱で動けなくなって救急搬入された80歳代男性は、膝関節偽痛風と判断された。この方もCOPDがあって、肺野がdirtyな印象があり(主観的な表現だが)、軽度の喘鳴も聴取されたので気道感染も否定できず、抗菌薬(セフトリアキソン)も使用した。偽痛風にはセレコックス内服を開始してた。今日は膝関節痛が軽減して、解熱していた。

 当直医(循環器科医)が救急搬入された発熱の90歳台男性を内科で入院させて、指示を出していた。1月に誤嚥性肺炎で入院していた。今回、胸部X線・CTで明らかな肺浸潤影はなかった。認知症で激しく動くため、尿検査はしなかったそうだ(導尿しないと採取できない)。前回と同様の抗菌薬(ユナシンS)で治療されていたが、今朝も39℃の発熱が続いていた。膝関節に腫張・熱感が強いようにも思われたのでNSAIDも併用することにした。内服は困難だったので、ボルタレン座薬12.5mgを3日間朝夕定期で挿入することにした。午後には平熱となり(血圧低下はなし)、調子よさそうだった。

 医歯薬出版から新装復刻版が出た。そのうち、「インスリン物語」は前から持っていた。そのほかに、「楽しい医学用語ものがたり」も出版されていた。語源好きとして、正・続2冊合わせて購入した。penis(ペニス)はラテン語で尻尾を表すそうだ。元はpendere(垂れ下がる)でpendant(ペンンダント)もここから来ている。penicillin(ペニシリン)は青カビの一種penicillium notatumから得られたが、このpenicilliumはpenisに縮小辞-cillusが付いたもので、「小さな尻尾・毛ブラシ・絵筆」という意味になる。pencil(えんぴつ)も絵筆という意味からできた言葉だそうだ。どうでもいいことではあるが。

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後腹膜出血

2015年07月12日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ていた(最近は今日もになっている)。51歳男性が右下腹部痛で受診した。昨夜午後11時ごろに右下腹部痛があったが、寝ているうちに軽快した。朝はほとんど収まっていたので仕事に出かけたそうだ。今日の昼からまた右下腹部痛が出現して、昨日よりも悪化した様子をみていても軽快しなかった。腰を曲げて診察室に入ってきた。歩くと響くという。

 これは腹膜炎だと思って診察を開始した。右下腹部に圧痛とデファンスがあり、これは腹膜炎で間違いないと思った。心窩部から始まったかどうか聞くと、最初から右下腹部痛だという。点滴を開始して、血液検査を提出した。外科の先生(大学病院からの応援医師)に腹膜炎の患者さんが受診していることを伝えた。白血球数9300、CRP0.2と意外に大したことはなかった。腎機能が正常であることを確認して、腹部造影CTを行った。最初、右腹腔内から後腹膜に膿瘍が貯留しているのかと思われた。虫垂炎の破裂と思っていたので、後腹膜に広がることもあるのかと疑問に思った。外科の先生に診てもらって、これは腹膜炎の所見で手術ですねという返事だった。

 今日の外科当番の先生が呼ばれた。最初は腹膜炎かと言っていたが、CTをよく見て「後腹膜出血!」と判断された。単純CTにはない陰影が動脈相ではっきり白く写っている。静脈相になるとその周囲も造影されてくる。確かに出血だった。腹膜炎だ、外科だと短絡的に考えてしまった。

 血管造影と、引き続きインターベンションの治療が必要になると判断され、手術も含めて幅広く対応できる大学病院に治療依頼することになった。幸いに大学救命救急センターが受け入れてくれて、救急搬送となった。外傷の既往もなく、外科医は末梢動脈の動脈瘤があったのではないかと言っていた。絞扼性イレウスといい、今週末診断に関しては大分はずしている。

 

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