なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

生還したそうです

2018年09月10日 | Weblog

 8月19日に心室細動をきたした45歳男性の経過。居酒屋で心肺停止になり、居合わせた他のお客さんが心臓マッサージ(胸骨圧迫)をして、駆けつけた救急隊がAEDで除細動をした。数回の除細動で洞調律に戻った。

 当院搬入時は昏睡状態だったが、血圧は保っていて、自発呼吸も出ていた。基幹病院へ当直医同乗で搬送する直前に自発呼吸が弱くなって補助呼吸を開始していた。開眼する動きが見られて、希望があるかもしれないと思われた。

 診療情報提供書の返事が当直医だった先生(外科医)宛てに届いた。低体温療法などを行って治療して結果、意識は戻って生還したそうだ。後は高次脳機能障害があるかどうか慎重に判定するという。脳神経内科医4名のうち、おひとりが高次脳機能障害の専門医だった。

 居酒屋で心臓マッサージをしてくれたお客さんと救急隊員のAEDのおかげで、いい結果になってよかった。心室細動になった原因はわからず、特発性ということになる。

 

 感染症学会・化学療法学会の秋の学会に行こうと思っていたが、もう一人の内科医がちょうど夏休みをとるので行けなくなった。東京ドームホテルを予約していたがキャンセルした。代わりに、一度行きたいと思っていた大阪の適々斎塾のセミナー(病歴と診察で診断する感染症)に申し込むことにした。

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精巣捻転

2018年09月09日 | Weblog

 昨日の土曜日は日直だったが、午前2時半に入院していた92歳女性が心肺停止となり、そこから病院に来ていた。

 もともと地域の基幹病院に心不全で入退院を繰り返して、退院にもっていけず、当院に転院となっていた。悪化時はラシックス静注しかありません、と診療情報提供書に記載されていた。息子さんはもう年だしと言っていたが、娘さんはあきらめきれないという印象だった。

 当院に転院してすぐに誤嚥性肺炎となり、いったん軽快してまた肺炎になっていた。病状悪化時はDMRの方針にはなっていたが、肺炎はそれなりに軽快してきた経過だったので、当直医まかせにはできなかった。死亡確認しただけにはなったが。

 その後当直室で3時間くらい睡眠をとった。日直の後病院に泊まって待機するので、実質病院に2泊になる。午前8時前に救急要請がきて、当直医が外部の先生だったこともあり、そこから日直が始まった。土曜日の午前中の割に(まだ開業医は診療している)受診が多く、日中を通して受診が続いた。

 

 午後4時半に4歳男児が「おちんちんが痛い」と訴えて受診してきた。連れてきた祖母の話では1時間間から急に痛がり出したという。予診をとった看護師さんは亀頭包皮炎と思ったらしいが、診るとそれはなかった。痛いのは左側の精巣だった。右側の精巣は痛くないとちゃんと言えた。左の精巣の上が索状にもこもこしている。擦れるといたいので、歩く時は両足を広げるようにしていた。

 精巣捻転(精索捻転)が疑われた。泌尿器科救急だが、対応してくれる病院はあるだろうか。当院の泌尿器科は非常勤医の外来だけで常勤医はいない。まずは常勤の泌尿器科医2名がいる地域の基幹病院に電話してみた。外科系担当の先生が出て、すぐに受けてくれた。土曜の夕方(もう当直帯になる)に診てもらえるとしたら、大学病院しかないとも思っていたので、大変ありがたかった。

 

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尿培養で黄色ブドウ球菌

2018年09月08日 | Weblog

 老年期認知症の90歳男性が誤嚥性肺炎で入院していた。抗菌薬投与で肺炎自体は軽快治癒した。ST介入で嚥下訓練をしていたが、経口摂取は難しいと判断された。

 当院の嚥下訓練は期間が長く、かなり粘って行われている。地域の基幹病院で嚥下は無理を判断された患者さんが回されてきて、当院では経口摂取(嚥下調整色2~3程度だが)ができるようになった患者さんもいる。入院期間を長くとれる病院の利点だと思う。

 90歳ではあるが、手足は力強く動かしている。末梢からの点滴は何人かがかりで下肢から行っていた。上肢からでは手で殴られてしまう危険があった。家族と相談すると、「胃瘻造設は無理だろう、高カロー輸液は下肢からなら可能ではないか」と言われた。どこかの病院の先生から聞いていたようだ。

 下肢からCVカテーテル挿入といっても確実にできるかどうかわからないとお話した。病棟看護師4名で抑え込んで、何とか右大腿静脈から挿入できた。長期に維持できる体制になった。当地には家族が誰もいないので、家族の希望する地域の認知症専門の病院に申し込んで、転院待ちになった。

 2週間後に転院が決まったが、発熱してしまった。明らかな肺炎はなく、おそらくカテーテル関連血流感染と判断された。カテーテルを抜去するしかない。ただ本当にやっと挿入したカテーテルなので、別の場所から再挿入できる保証がない。

 細菌検査室から、血液培養2セットのうち1セットからグラム陽性球菌が出ていると報告がきた。やっぱりそうかと思っていると、同時に提出した尿培養から黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出されたとも報告が来た。尿培養から黄色ブドウ球菌が出たということは、血流感染(菌血症)から尿へ混入している。もう抜去するしかない。

 数日末梢からの点滴で頑張れないかと看護師さんに相談したが、「到底無理です、抑えるので別の部位からCVカテーテルを挿入してください」と言われた。右大腿静脈のCVカテーテルを抜去して、また看護師4名で抑え込んで左大腿静脈から再挿入した(部位として好ましくはないが)。抑え込んでも小刻みに身体を動かされたが何とか入った。内頚静脈や鎖骨下徐脈からの挿入は到底無理だ(PICCも無理だろう)。

 カテーテル尖端の培養も提出したが、やはり黄色ブドウ球菌が検出された。血液培養も同じ菌と確定された。正しくは心エコーで心内膜炎のチェックが、腰椎MRIで化膿性脊椎炎のチェックが必要だが、検査は無理だ。

 認知症の超高齢者に無理やりCVカテーテルを挿入するのは日本だけかもしれない。ちなみに息子さんは法曹関係で対応が難しい方だ。転院前から、転院先の病院の悪口を言っていた。

 

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膵神経内分泌腫瘍

2018年09月07日 | Weblog

 大学病院腫瘍内科から、膵神経内分泌腫瘍の68歳女性の緩和ケアを依頼された。内科の若い先生が緩和ケアもやってみたいというので、主治医になってもらった。ただ使用しているオピオイドは少量で、疼痛緩和の調整というよりは、併発する感染症や全身状態の悪化の方が問題だった。

 この患者さんは11年前に、大学病院で食道癌(扁平上皮癌)の手術と化学療法を受けていた。経過をみているうちに複数の肝腫瘍が出現して、生検で腺癌だった。精査の結果、膵腫瘍があると判明した。当初は(通常の)膵癌とされたが、病理組織のカンファランスで膵神経内分泌腫瘍と確定診断された。非機能性らしい。クロモグラニンA陽性とある(久しぶりに懐かしい名称を見た)。

 神経内分泌腫瘍というのは、名前は知っているが、これまで見たことはなかった。カルチノイドという世代だし。

 

 北海道胆振東部地震で、大学病院から血液透析患者さんの受け入れ確認がきたそうだ。血液透析専門病院で扱いきれない人数が来た時に回されるということだった。ニュースでは北海道内の透析施設が再開しているようで、実際に東北まで患者さんが来ることはなさそうだ。 

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非結核性抗酸菌症+侵襲性アスペルギルス症

2018年09月06日 | Weblog

 非結核性抗酸菌症(NTM)の77歳女性が、地域の基幹病院呼吸器内科からリハビリ目的で転院してきた。50歳代から20年以上の経過だった。以前はCAM+RFP+EBが処方されていたが、現在はCAM+MFLXが処方されている。

 NTMに加えて侵襲性アスペルギルス症もあり、いずれもコントロールできていません、と診療情報提供書に記載されていた。真菌球もあるので慢性の変化でもあるようだ。ポリコナゾール(ヴイフェンド)が処方されていた。

 痩せた方だったが、来てみると案外元気で、リハビリをすると杖歩行できるようになった。1か月も待たないで自宅退院できる見込みだった。

 10年前のCT像を見ると、結節気管支拡張型のNTMだった。基本的に薬で完治できないので、体力勝負になる。漢方薬(十全大補湯)と栄養剤(エンシュアリキッド)も処方されていた。

 退院後は外来予約をとってお返しするが、予後はどのくらいなのだろうか。

 

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全体像がわからない

2018年09月05日 | Weblog

 ASTで話題になった症例。48歳男性が、先々週の土曜日に腰痛で整形外科に入院した。入院時から炎症反応の上昇・肝機能障害・腎機能障害があったが、後に発熱・意識障害もきたして、週明けの月曜日に地域の基幹病院救急科に転送となった。

 当院で施行した血液培養(セフトリアキソン投与後)は陰性だったが、転送先で施行した血液培養からMRSAが検出されたそうだ。細菌検査室から当院の検査に問い合わせがきたという。検出菌がMRSAということで、病態がますますわからなくなった。

 先月中旬に車を運転して、自損事故を起こした。歩いて自宅に帰る途中で、道路の側溝に落ちて腰部を打撲した。整形外科クリニックを受診して、腰椎椎間板症(患者さんの話)と言われたそうだ。

 腰痛がひどくなり、自宅で休んでいたが(寝込んでいた?)、その日は動けなくなって両親が救急要請した。発熱はなく、腰痛で動けないという訴えだったので、外科系疾患としての搬入だった(土日は内科系・外科系の2名の日当直医で対応)。外科は大学病院からのバイトの若い先生だった。

 腰椎単純X線、さらに胸腹部CTも施行されたが、骨条件で胸腰椎を見るためのようだ。腰椎自体には異常がなかった(と判断された)。整形外科の当番医に連絡がいって、整形外科で入院となった。翌日から発熱があり、意識レベルも低下した。外科の当番医に相談されて、抗菌薬(セフトリアキソン)が開始された。そして翌月曜日の救急搬送となっている。

 ASTで話が出た時には腰部打撲したこともわからなかったので、「腰痛・発熱だったら化膿性脊椎炎じゃないの」、と適当なことを言っていたが、カルテを確認して経過を追ってみた。全体的な病態がよくわからない。

 整形外科医が診療情報提供書に記載したように、、CTで見る限りは明らかな異常は認めない。化膿性脊椎炎については腰椎MRIは施行していないので、正確にはわからない。MRIは必須の画像検査になるだろう。腰痛が打撲によるものとすれば炎症反応上昇と関係ないことになるが、両下肢の脱力があったという記載もあり、腰椎・腰髄自体の異常は考える必要がある。

 内科としては、胸部CTで左下肺野背側に浸潤影を認めるが、肺炎で全体を説明できるかどうか。レジオネラ感染だったらありうる?。血液培養のMRSA検出をどう考えればいいのか。MRSA肺炎はそうあるものではない。感染性心内膜炎や化膿性脊椎炎の起炎菌ならありうる。

 経過をみてもさっぱり見当がつかない。当院での対応は難しいので、救急搬送したことは正解だった。受けた方は相当悩むと思うが、専門医集団がズバッと診断してしまうかもしれない。

 

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腹壁瘢痕ヘルニア

2018年09月04日 | Weblog

 昨日は内科の当番で、当直は耳鼻科医だった。救急外来からの内科入院以来はなかったが、外科には2名の患者さんが入院していた。ひとりは58歳男性で、バイクで転倒して肋骨骨折をきたしていた。もうひとりは44歳女性で、腹壁瘢痕ヘルニアだった。

 子宮筋腫の手術歴がある。診察では臍部の左側に圧痛があり、腹壁内の消化管が触れていた。腹部CTで腸管(小腸)が腹壁内に突出したいる。当直医が整復しようとしたができなかった。当番の外科医が呼ばれて、そこはさすがに用手的に整復していた。腹痛も消失した。待機的に手術する方針で入院になった。

 当方の外来にも、腹壁瘢痕ヘルニアの高齢女性が通院している。ヘルニア門が大きいので嵌頓する心配はない。

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梅毒

2018年09月03日 | Weblog

 先週AST(抗菌薬適正使用支援チーム)から、梅毒の患者さんがいました、と報告があった。モンゴルから当地に来ている21歳男性だった。農業か工業かわからないが、いわゆる技術研修に来ているらしい。その時は、日本に来てからの感染なのか、来る前からの感染なのかという話になった。今日、カルテを確認した。

 陰茎の腫脹と尿道口からの排膿を訴えて、7月末に当院の泌尿器科外来(当院は日替わりの非常勤医のみ)を受診した。問診では、前月に外国人(どこの国?)とセックスをしたと記載されている。鼠径リンパ節腫脹もあった。淋菌感染が疑われていた。

 最初に診察した先生は尿培養(通常の)だけ提出して、アジスロマイシンを1日分とレボフロキサシンを処方していた。ここは、セフトリアキソンン1回点滴静注+アジスロマイシン2g1回にするところだろうか。

 同じ先生の外来を2回受診したが、症状が改善しないため、別の先生の外来を受診したようだ。淋菌とクラミジアの検査は陰性だった。RPRとTPHAが検査されて、両者とも陽性だった。HIVも検査すべきだが、ことばが通じないので後日にする、とあった。抗菌薬はグレースビットが処方されていた。ここは普通にアモキシシリンか。

 陰茎に無痛性の潰瘍形成とは記載されていない。症状は淋菌感染(and クラミジア感染?)のようだが、どう解釈したらいいのだろう。梅毒感染は間違いないとして、淋菌感染・クラミジア感染・HIV感染の関与はあるのかないのか。

 

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「神経内科の外来診療」(夏休み4日目)

2018年09月02日 | Weblog

 夏休みの旅行中は「神経内科の外来診療 第3版」北野邦孝著(医学書院)を読んでいた。初版から読んでいるが、一般医にはちょうどいい内容になっている。後期研修医(内科専攻医)にお勧め。第3版が出てから5年経過しているが、著者の年齢を考慮すると第4版は出ないのかもしれない。

神経内科の外来診療 第3版: 医師と患者のクロストーク

 

 今日は午前中に高山市内をちょっとだけ歩いてみた。お昼には高山を出て、名古屋まで高山線で戻って、東京経由で帰るだけになる。

 今年は四国松山まで(JR+バスで)行く計画だったが、同地の災害の関係で取りやめにした。尾道から四国に渡って、帰りはJRを使って淡路島経由で神戸まで戻ることを考えていた。来年は行こう。

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成人スチル病の再燃(夏休み3日目)

2018年09月01日 | Weblog

 昨年不明熱で入院して、成人スチル病としてプレドニンを開始した73歳女性は外来で漸減していた。プレドニン12.5mg/日まで減量したところで、わずかに炎症反応が上昇した。そこで漸減を維持して経過をみていたが、少しずつ炎症反応は上昇してきた。

 患者さんはプレドニンの減量を楽しみにしてきた。増量を嫌がったので、あまり変わりないかと思いながら15mg/日にしたが、発熱があり、予約日前の受診になった。白血球増加・CRP上昇が明らかで、入院した時よりは少し低めという値だった。

 一人暮らしで姪御さん(元は地域の基幹病院の検査技師)が連れてきてくれていた。プレドニン増量は入院して行うことにした。昨年は1mg/kg/日の50mg/日で開始した。今回は当初30mg/日を考えていたが、結局40mg/日にした。発症時ほどではないというだけの根拠だが。症状・検査値をみて、経過良好であれば2週間おきくらいに30mg/日まで減量する予定とした。

 胸部X線、胸腹部CT、血液培養・尿培養の提出を行ったが、感染症は否定的だ。この系統の病気は感染症と違い、ちょっとでも炎症反応が上昇すれば、有意なのだった。そもそもスチル病でいいのかという問題があるが、1年経過しても他疾患らしさがまったく出てこない。強皮症は症状と特異的抗体から確診がついている。

 

 今日は下呂温泉から高山まで来て、バスで白川郷に行って来た。雨が降っていたが、途中から晴れた。白川郷は雪景色が売りだと思うが、冬に行く気にはならない。今日は高山に宿泊。

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