8月6日(火)の午後7時過ぎに、90歳代前半の男性が心肺停止で救急搬入された。消化器科の外来に進行胃癌で通院していた。
当直の内科の若い先生が心肺蘇生術を行ったが、反応はなく、死亡確認がなされた。死因は胃癌とした。
この患者さんは昨年12月に心窩部痛で救急要請して、地域の基幹病院に搬入された。血液検査で貧血を認めて(おそらくCTで胃癌が疑われたと思われる)、上部消化管内視鏡検査を勧められた。
通院が大変(?)ということで住居近くの内科クリニックを希望したため、そちらに紹介された。内視鏡検査で胃噴門部に進行胃癌を認めて、生検で胃癌(group Ⅴ、tub1+2)と診断された。
今年1月に今後の症状が出た時の対応のため、クリニックから当院の消化器科外来に紹介された。1か月おきに経過をみていた。
8月初めのCTでは胃癌はさらに進行して、胸水・腹水・浮腫を認めた。食事が何とかとれるので、そのまま経過観察して翌月の受診とされていた。結果論になるが、そろそろ病状悪化時の相談をしていた方がよかった。
癌終末期で自宅療養される場合は、家族と相談して急変時DNR(DNAR)となることが多い。それでも、急変して救急要請すると、救急隊が心肺蘇生術を行って搬入となる。
家族がDNR合意の書類を救急隊に見せたとしても、救急隊が(死亡確認のため)病院に搬送だけするということにはならない。本気度の薄い形だけの心肺蘇生術を行っての搬入になる。(制度上やらないわけにはいかないそうだ)
最近は市内に往診クリニックができたので、在宅での看取りが増えるかもしれないが。