ボルドーのワインについて「濃くって重い」と思っていらっしゃる方が結構多いように思います。
葡萄はカベルネかメルロですからタンニン=渋みは確かに多いですね。でも渋い=重いではありません。色は濃くなりますが。
少なくともニューワールドなどの雨の少ない産地のようにアルコールが強いわけではありません。むしろ世界の産地の中でも低ではないでしょうか?ですから口に含んで「重々しい」と感じることはないのです。温暖化のお陰で多少のアルコール度数のアップは認められますが、ニューワールドほどではないのです。
ブルゴーニュやピエモンテのように涼しい産地では無い訳ですから酸が強い訳でもありません。と言うことは口の脇のほうに「キュッ」と引き締める強い感覚もありません。
だからボルドーは長きに渡り人々に愛されていたのだと思います。タンニンがあるので、それが和らぐまで寝かせてあげると、旨み、優しい酸味、こなれたタンニンの触感、良いフレーバーの余韻が出てきます。逆に喉が焼けるようなアルコールは感じません。食事のお供にワインを飲むヨーロッパで愛された理由はその辺なのでは、と私なりに解釈しています。
といってもボルドーは大産地です。お安い価格から何十万もするグランヴァンまでピラミッドは計り知れないくらい大きなものです。その頂点のいわゆる一級シャトーのものはさすがに「濃くって重い」こともありますが、2,000円から3,000円程で買える物の多くはしなやかでエレガント、飲み飽きしません。
赤ワインを知り始めると「濃くって重い」物に走りがちですが、少し観点を変えると同じボルドーを食事に合わせやすいエレガントなものとして頂けるはずです。
ところでヴィンテージによって違いますが、ボルドーのワインを美味しく頂く為にはコルクを抜いたあと一口味見してみて渋みが歯茎に残るようならデキャンタ(なければ空き瓶でもOK)にゆっくり内壁に膜を張るように流してください。物によっては2度3度してもいいと思います。温度は18度前後に整えるのが望ましいですね。今の季節なら夜の気温が20度くらいですから飲む前に少し冷蔵庫に入れるのが良いでしょうか。セラーのある方は設定温度から類推してみてください。また充分に熟成したワインをお持ちの方は澱を取り除く為のデキャンタが必要かもしれませんが、自宅で飲む分には多少混じってもいい位のつもりで荒い澱だけ取り除いてやってください。
合わせる料理は?それはそむりえ亭でお話しますよ!!