私がワインの勉強を始めた頃、ある意味赤ワインの代表的銘柄だった一つがキアンティです。
イタリアはトスカーナ(フィレンツェ近郊)の赤ワインですね。
サンジョベーゼと言う葡萄を主として造られていて、昔は白葡萄もそこそこ混ぜていました。
何しろ瓶が面白く丸い瓢箪の上の丸い部分を切ったような、いわばフラスコ状のものに藁が巻いてありました。フィアスコ瓶をいいます。
総じて重くなく、適度なタンニンとフルーティさが特徴といえば特徴、の当たり障りのないもので勉強したての私にとっては心地の良いワインでした。
しかし、いつの間にか「よその産地に負けるな!!」という事でしょうか?
徐々に白葡萄は使わず、より熟したブドウからコクのあるタニックなワイン造りへと変貌していきます。場合によっては5ケタの価格も珍しくないワインになりました。
当然、そうなるとボトルもボルドー型のスマートな形になっていきますね。だって、その方が海外への輸出に向いた形状=ケースに収まりがよく、積み重ねての熟成も容易だからです。
勿論、今でも昔ながらのものを造っている所もありますが、フィアスコ瓶は殆ど見かけないのは寂しいな、と思います。
今月のグラスワインには一つキアンティを入れました。
コッリ.セネージというゾーンのものです。
幾つかのクラスを造っているメーカーですが、最もスタンダードな樽熟をしていないものを敢えて選びました。つまり瓶こそ違えど、キアンティの昔の姿に近いワイン。
過度なタンニンや複雑さがない、スマートなワイン。
前菜や魚にピッタリなのですね。
重いワインだけが優等生ではありません。
「なんだキアンティか・・・・」と言わず、おじさん達には昔を懐かしんで頂きたいな、と思います。