昨年の解禁の日のブログに私は昨今のヌーボーに対する憂いを書きました。
つまり「ヌーボーと言えないヌーボー」が増えて「直ぐに美味しく飲めないもの」が多くなっているという事に憂いを感じたのです。
実際、ボージョレ地方にはモルゴンやムーランナヴァンなどの村名が付いたものは10年20年と熟成を続け成長するワインも作れるわけですから、それに近いものをヌーボーとして出荷することは可能なわけです。
また、そうすることで農家は早くにキャッシュが手に入ります。
美味しい訳がありません。
で、今年です。
早くから天候の不良を伝えられ、結実不良は糖度不足、ひょうによる収穫減など悪い話ばかりです。
しかし神は農家を救いましたね。
8月後半からは急激に天候が持ち直し、酸と糖のバランスのいい、しかもミネラル感も失っていない感じです。
確かに収穫量は激減しているようですが、私の試したものや他のお店での評判を聞いても「濃すぎて困る」と言う話は聞きませんでした。
収穫が減って無理をしなかったのでしょうか?或いはやや遅めの収穫が濃い抽出をする時間を制限したのでしょうか?
私には判りませんが、功を奏しています。
グラスに注ぐなりイチゴキャンディのような香りが弾けますし、色は美しく出ていますがタンニンは押さえられ、スルスルと喉に滑ります。
かといって薄くないんですね。
まさにボージョレヌーボーの真骨頂だな、と感じた私です。
そむりえ亭で使っているのはルーデュモンという所の「単なるボージョレヌーボー」。決してヴィラージュではありません。
何しろ冷やしてください。大きなグラスは使わないでください。
比べてお試し頂けると判ります。
ヌーボーは温度が低くても香りますし、むしろ温いと青臭く感じますね。
また大きなグラスだと香りが届かない現象が起こります。
料理はあまり気にしない。気軽にご家庭でもお店でもやって頂きたい今年のヌーボー。
近くのブルゴーニュのワインのリリースが面白そうだな、と感じた今日のヌーボーの感想です。