ワイン愛好家の方に多い表現ですが「あのワインは30分で落ちてきた」とか「〇〇の何年は直ぐに味わいが落ちた」という事を言われます。
確かに数十年たったワインには、ありうる話です。
しかし、僅か10年や20年では例えに出てくる、いわゆるグランヴァンの強い年のワインは少しの時間では「落ちる」ことはありません。
ボトルを一本飲みきるまでには味わいの変化はあります。
しかし、それは酸化によるもの以外に温度による変化も大きく、一瞬酸が突出するタイミングが訪れるだけなのです。
もう10分20分待って温度が1度2度上がるだけで甘味や果実味が復活します。
大体セラーから出したばかりのワインは若干温度が低めです。デキャンタやグラスに入れて少しの温度上昇があります。これにより甘味は少し改善されます。
しかし、もう少し温度が上がった時点で酸味の方が前に出てきます。
これを「落ちた」と表現する方が多いのですね。
しかし更に1度2度上昇するとタンニンの酸化が甘味を増して感じさせますし、元々ある甘味も強調されますね。
勿論、適正な温度を超えると再び酸味が目立って感じますが・・・・
いつも言うように私は科学者ではありませんので、理論は判りませんが体験での確証です。
そむりえ亭では殆どがグラスので販売ですので、セラー温度からスタートすることはありませんので、かなり飲み頃に近い状態での提供ですが、ご家庭やセラーが一つしかないお店の場合、設定温度が白も含めた低すぎる事が多いので先述の「落ちる」感じがするのではないのかな、と思います。
セラー温度を16度位からスタートすれば酸化したような錯覚は起こりにくいのでは、と思います。(ボルドーなどはそこからデキャンタした状態で18度スタート)
折角のグランヴァンをお飲みになるのですから、すぐに結論を出さずに、もう少し待って生き返らせてあげてください。
殆どのワインはもっと長い時間楽しめる筈です。