ポルトガルを訪れたことがあります。
ほとんどの行程はポルトの視察ですが、最後の2泊3日ははるか大西洋上の島マデイラ島でした。
10月31日から11月2日までの期間でしたが島の南側は太陽を浴びて暖かく海水浴をしている人もいる位でした。
それもその筈、マデイラ島は北アフリカと同緯度なんですね。
マデイラワイン産地でありながらホテルゲストはヨーロッパ北部のお金持ちばかり、というバカンスの島でもあるんですね。
そこでは他のワインではしない「熱による熟成」をワインに与えます。
他のワインならば劣化条件になる所で、気が付けば西洋版老酒(ラオチュウ)の出来上がりです。
「気が付けば」とはいえ上級のものは何年もの間、いや何十年物間、樽の中で熱による熟成と蒸発を続けます。
えも言えない凝縮と昇華を身に着けたマデイラは最良の食後酒の一つです。
私は中でもセルシアルという葡萄のものを使っていました。甘い事は間違いありませんが過剰ではありません。
他に貴腐ワインやポルトを使っており、マデイラは甘さ控えめでいこう、と思ったからです。
しかし、今月からボアルという葡萄の甘みの強いものも入れました。
もう一つマルバジアという極甘のものもありますが、ここはマデイラらしい酸も感じたほうが良いかな、という事で・・・・
通常セルシアル→ヴェルデリョ→ボアル→マルバジアの順で甘くなるのです。
何れも白葡萄です。
他にティンタネグラモーレという黒葡萄もありますが、この多くは並級の料理用などに回されます。(近年、飲用の上級品も増えました)
或いはテランテスという絶滅に近いと言われた白葡萄(甘辛では丁度真ん中位)も着実に育っているようです。
いずれにせよ、熱熟成による風味は、それだけでも美味しいのですが焼き菓子との相性は素敵です。
遠く離れたマデイラ。
是非、お出かけください。とは言いにくいので、そむりえ亭でグラスを傾けながら、思いをはせてください。