ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

介護日記

2019年04月21日 02時56分08秒 | 日記
母はある年齢になってから友達たちと山登り(ハイキングに毛の生えたようなもの、だと思います)を始めました。

80歳を超えても出掛けていたようです。


ですので私と暮らすようになっても「私は足は丈夫なのよ」と自慢していまして、認知はあるものの私と買い物兼散歩に出るのも平気でした。

また最初の頃に行っていたデイサービスでの運動も「子供だましで馬鹿にしている」とも・・・・


ちなみに買い物は距離にして500メートル。

若干の坂もあります。

同じところばかりでは飽きると思い、3か所のスーパーに出掛けていました。


いずれにせよ3か月は私の手引きなしに自分で歩いており、右手にもつ杖は必要なものの「92歳にしては頑張るな」と見ていました。



しかし、3か月を過ぎると私に手を繋ぐように求めてきました。

「なんか怖い」と言うのです。

更に三か月経つと「ちょっと休憩しよ」と立ち止まるようになります。


私の足だと7,8分のスーパーですが15分→20分→25分と徐々に時間が掛かるようになっていきます。

最初の頃は「衰えないように頻度を落としたら駄目だな」と思っていたのですが、それは違ったようです。

つまり認知と共に足を動かす指令が届いていないようなのです。

私は医者ではありませんが、確かにそう感じました。

場合によっては角を曲がる際にヨロヨロと転んでしまったこともあります。

しっかり手を繋いでいても、です。


私は買い物を片手に持っていますから両手で支えることが出来なかったんですね。


そんな状況でしたが道端に出ている弁当売りの女の子には「可哀そうだから買ってあげて」などと言う優しい母でもあって、散歩を減らすことも難しく。

ま、週4度は出掛けていました。



認知と加齢の双方の親御さんを持つ方々には「次第に歩けなくなる」という事例が樋口の所ではあった、と覚えていただいて間違いないと思います。


いずれ寝たきりになる前に私の最大限に出来ることは「散歩と買い物」でした。

かつて母と手を繋ぐことになるとは思いもよりませんでしたが、約1年半の間の「手」は私の中で大事な温もり。

どうぞ、それが出来る環境にある方はお母様、御父上の手を取って歩いてみてください。

決して恥ずかしい事ではないと思います。


        樋口誠