ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

介護の記録

2019年05月08日 00時14分28秒 | 日記
母を介護している間、私の生活で変わって良かったことが食事です。

母に食べさせる為に、遠ざかっていた料理をするようになったのです。

断っておきますがプロの料理人ではありませんし、多くの主婦の様に手の込んだ料理は出来ません。

しかし「作る」と決めて自分自身の外食も減りました。


さて、どんな料理だったか、というと・・・

最後の1年以外は殆ど普通の人が食べるようなものです。

ステーキも食べますし、刺身も食べます。

江戸っ子ですから「蕎麦が良い」と言ったり、「私は肉が好きなのよ‼」と求めたり、「食後はチョコが良い」「いやお団子が好き」「おでんが良い」と言ったり様々でした。

そうやって要望を聞かせてくれると嬉しいですね。


買い物では肉類は牛、豚、鶏の塊りや薄切り、魚は白身、青魚、塩鮭など、野菜もそれなりに買っていました。

それらを焼いたり、煮たり。勿論、お刺身は生で(笑)

煮物の場合、最初は水煮的に薄味にして、翌日はトマトを入れたり、カレー粉を入れたり、味噌を入れたりして「味変」を試みたり。


夜は最初の半年は母一人の状態でしたので、なるべく単純に「温めるだけ」に設定していましたが、いつの間にかレンジの使い方がわからなくなり、ガスを点けっぱなしで焦がしたりが続き、頭を痛めていました。

半年が過ぎて、夜もヘルパーさんが来てくれるようになりまして、お任せできるようになった時は本当に「ホッ」としました。

しかし、いずれにせよ調理に時間が掛からないようにしませんとヘルパーさんの「持ち時間」をオーバーしますので「温めるだけ」は必須、です。

美味しくなかったとは思いますが、そんな調子でした。

で、栄養不足を補うには野菜ジュースや牛乳。


また私の勤務時間に合わせ、深夜の帰宅時に少し食べさせる、というサイクルです。

母は認知の「お陰」で時間の感覚がありませんでしたので、深夜に食べることには抵抗はなかったようです。


しかし、一年半経った時点で歩けなくなり、その辺りから作る料理も変わってきます。

より柔らかく、より小さく、そして「とろみ」へと・・・

また寝たきりになって半年が過ぎた頃から自分で食べられなくなります。

箸で口に運べなくなったのです。

スプーンでも・・・

これは結構ショックでした。

「こんなに早くこうなるのか?」と思いました。

そうすると、私やヘルパーさんが口まで料理を運ぶのですが、時間も思いの外かかります。

食べやすくはしていても「誤嚥しないか?」と心配も増します。


また栄養の補助にゼリーで「マルチビタミン」「鉄分」「プロテイン」等をしっかり補給。

投薬の時に薬と合わせていました。


ベテランのヘルパーさんの話では「90代には充分な栄養はとれている」という事でした。

にしても、慣れてきたことが尽く役に立たなくなり「次のステップ」に進まないといけませんでした。


それと寝たきりになってからは食後の後の時間を空けてベッドに移さないといけません。
(電動ベッドを起こしての食事もしましたが、車いすに移乗させてテーブルで、というのが私のせめてもの「母との接触」でした)

今思えば、あんなもんを造ればよかった、あれはやめとけばよかった、など浮かんできます。


しかし先述の様に長い間していなかった自炊や料理を再開して、例えば昨日も休みで米を炊き、豚の肩ロースを焼いて食しています。

繰り返しますが、たいした料理はできませんが、自分で作って出来立てを頂くのは美味しいですよね。


多くの女性は問題ないと思いますが、後々介護をする側になる男性は「料理」も覚えておいて損はないですよ。


いろんな意味で母に感謝です。



         樋口誠