ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

ラベルの扱い

2019年05月19日 02時21分59秒 | ワインの事
エチケット、と言ったほうが良いのかもしれませんがワインのラベルの話です。

時は1987年。

私が前職のホテルでソムリエを任されました。

ソムリエになりたい、なんて全く思っていなかった私ですが、やるからには頑張らねばなりません。

そのレストランではワインリストは「ラベルアルバム式」

他のお店でもその方法でやっていたところが結構あって、当時の流行だったんですね。

そのホテルは1982年創業ですがら既に5年は経っていて、私も勉強がてら毎日毎日ラベル剥がしに励んでいました。
またリストだけでなく、ホテルのフレンチなんて「記念使い」される方が多かったものですから、飲まれたボトルのラベルをプレゼントするのにも剥がしまくり、です。

水や湯に漬けるだけで取れるものもありましたが、多くは湯に漬けてはペティナイフで少しずつ・・・

懐かしい想い出です。

剥がしたラベルの内、リスト用は保存箱へ、お客様用は専用の台紙に「ワイン名」「年号」「産地名」「ブドウ品種」「国名」「格付け等の備考」などを書き添えます。

ある意味いい勉強でした。

そんなことを1990年代の後半まで続けます。

途中で透明のシートに糊の力で剥がしとる便利なグッズが出来てきましたが、シートと台紙の厚みと重みが店で使うには不適当でしたので使用せず。

と、言っているうちにPCという便利なものが出来、ラベルリストは終焉を迎えます。

ただ私の場合、ホテルの高級メインダイニングであっても、早い時期から「グラスワイン押し」でしたので、ボトルでのお勧めは半分くらいです。

よってリストは重視していなかったかもしれません。

で、現在に至るわけです。

そうこうしているといつの間にかお客様が簡単に写メでラベルを撮影する時代になります。

便利になったなあ、というのが素直な感想です。

少なくても、そむりえ亭の様にグラスでお勧めする場合はラベルを差し上げることが出来ませんので、有難かったのです。


更にはワインのアプリも登場します。

ラベルを撮ると自動的にワイン名や産地を認識してデータ化する優れものが出来ていますね。


しか~~し・・・

何度かお客様が撮ったワインのデータを見せていただくと、かなりの割合で間違っています。

例えば、最近では「サンジョセフ」というローヌ地方の赤ワインを撮った方のデータは「白ワイン」と認識され、ブドウ品種も白系のマルサンヌと判定。

この「サンジョセフ」は赤も白も造っていますし、同じ作り手の場合はラベルデザインも同じなんです。

或いは何のワインか忘れましたがヴィンテージを違って読み取っていたり

畑の名前も違っていたり

また、同じワインを飲まれた(はず)の他の投稿者のコメントが明らかに違うワインを語っているコメントだったり・・・・

嫌なのは、ご自身が気に入ったワインなのに、他の方のコメントが批判的であったり、低評価だと落ち込むだけです。


「これからはAIの時代」とはいうものの、車の運転でも完全に任せるには当分時間が掛かるように、ワインアプリも「校正」が必要なようです。

というか、ワインを覚えるのであれば「アプリに任せない」で自分で調べる、若しくはソムリエに聞くことが良いと思います。

そうして聞かれたソムリエにとっても勉強(復讐)になりますし。

もし、そういうアプリをお使いの方で、そむりえ亭で使用の場合、一度画面をお見せいただければ「校正」させていただきます。
(忙しい時はご容赦くださいまし)


便利になりすぎるのも長短アリ、ということですね。

気をつけましょう。


           樋口誠