私は本を読むのが好き
歳とって手に取る本が偏っているなと感じることも多いが、やめられない
置き場所に困るようになったのでほとんどを図書館や古本屋で手に入れ、よっぽどでないと手元に残さなくなった
手放せない本の一つが藤沢周平の時代小説
ほとんど全てがある 時折出しては読み直す
一番好きなのが20ページほどの短編「山桜」
野江が最後式台に手をついて泣くシーンが切なくて、それ以上の思いが伝わってきて涙が出てしまう
2008年に映画が作られているが、これは私は配役ミスが原因で失敗していると感じている
ただ観てよかったと感じたこともある
映画はラストで小説では書かれていないもう少し先まで描いていた
実は私読みこなしていなく先をどう考えて良いかモヤモヤした状態にあった
映画のおかげで足掛かりをつけてもらった
前置きが長くなった
劇団民藝主催で「山桜」の朗読劇があると知り、いてもたってもいられず、
旦那にチケットを取ってもらった

篠田三郎に樫山文枝 読み手にも期待した
コロナは心配だが聴きたいがまさった
旦那も誘ったが、俺は寝ちまうと付き合いの悪さを見せた
会場は9割がた埋まっていた
年配の、うむ妙齢のというのかご婦人が多く、ご夫婦でいらしている様子の方も目についた
民藝の客層!て感じ、末席にお邪魔してきた
明かりが消えて篠田三郎が登場
バリトンボイスが響いた
野江の物語が語られる
庄内の風景が浮かんだ
野道の傍の桜の木の下で手塚弥一郎と出会う場面で涙が出てきた
ぐっと堪えて耳を澄ますが式台の場面で、しっかりと野江の心が伝わってきて胸に来た
役者さんてすごい
山本周五郎もよく読む
これを読んだという確かな記憶はないが
胸元が大きい安心して読める太い作風が好きだ
一度何かの加減か引っかかったような読回しになったが、小一時間しっかりと語られた
樫山文枝も名手だと思った
舞台はいい そこで演じてくれる
なんと贅沢なことではないか
東京に居ても、コロナでなかなか出かけることが叶わないのが残念だが、
機会をとらえて気をつけながら出かけてみたい
楽しかった