つれづれおもふ

思えば遠くに来たもんだ~ぼつぼつ語る日々の出来事

“まるごと馬場のぼる展” に行く

2021年09月02日 | 日記
新聞に取り上げられていて12日で終わると書いてあった
雨が降り、人もそれほど多くないかもと思い切って行ってみることにした
ちなみに旦那はこういうのは興味を示さないし、付き合うこともしない
 
気持ちよく一人ででかけた
 
 






 
図書館でやらせていただいている仕事は団体に貸し出された本の点検と配架
書架は団体向けなので複本と呼ばれる状況で、つまり同じ本が何冊もある
シリーズ物は勢い目につくような状態である
「11匹のねこ」は6冊からなるシリーズ物で鮮やかな黄色の背表紙がよく目立つ
出入りも多く、読まれている絵本だと感じている
 
私は絵本作家としてよりも漫画家のイメージが強いが、
そうでもなさそうだと感じていたところだったので行ってみることにした
 
原画 原稿 スケッチブック 
描くことを厭わない人だったようで、ものすごい量が並んでいた
 
今までなんとも思わずに「11匹のねこ」を見ていた
作家が一枚の絵を描き、写真製版して印刷の三原色で版がおこされて
印刷されたものだと思っていた
しかしこの絵本はそんな単純なものではなく、
版を起こし馬場のぼるが指定した色で一色ずつ印刷したものだそうな…いわゆるリトグラフと同じ手法だ
絵本としては大変な手間がかかっている
印刷屋だけでなく、原画を描く作者も色版ひとつづつ描き出さなければならない
 
「11匹のねこ」は原案のスケッチや割り振り、試し刷りなど多数の資料が展示されていた
繰り返し繰り返し同じ絵が生き生きと描かれていた
飽きないんだ いやにならないんだ
繰り返し 繰り返し その情熱に目がくらんだ
 
漫画の原稿にも驚いた
忘れていた 私の友人の中にも漫画進んだものがいる
当時、当然だがすべて手作業でコマ割りの罫線は烏口で引き、
スクリーントーンなどなかったから薄墨などで調子を付けた
すべてが手で描かれた
 
そういう原稿が目の前にいくつもいくつも
そして何より目を引いたのはその原稿がきれいなのです
多少の修正やホワイトがあるが無駄な汚れなどは見られず、
原画の周りに編集者が印刷用のために書いた指示が目につくばかりだった
この一コマのためにどれだけの努力をしたのだろう
 
馬場のぼるという人は、漫画家が描く絵本を突き詰めた人だったようだ
 
私の好きな絵本作家にガブリエルバンサンがいる
彼女の手になる絵本で「天国は大騒ぎ」がある
これはラフにクロッキーのように描かれたものだが、
コマ割りされて漫画のような体裁になっている
でもあれは物語で、決して漫画ではない
対して馬場のぼるの作り出した絵本の世界は、確かに漫画につながるものだと思う
 
ふと思い出した
団体の返却で、返却本にメモを付けてきた先生がいた
それは運んで行った本(先方が選んでいったものなのだが)の中の
キャラクターもの、ノンタンやアンパンマン、トーマスといったものを次回からは入れないでほしい
という要望で、、それに対して図書館の職員さんがどういう返事をしたのかは定かではないが、
その時私はなにかもやもやを感じた
 
音楽が、クラシックのほうが上や
ヒップホップやジャズダンスよりクラシックバレエのほうが上  みたいな???
 
確かに漫画は使い捨てのような作品も多い
でも馬場のぼるの作ったものはそんな生半可なものではない
 
ああ、いいもの見せてもらった
満足している
 
 
 
 
 
 
コメント (2)
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