昨年夏からこの春まで「現場監督さん」と付き合った。
その仕事は多岐にわたり、入れ替わり立ち代わりかかわる職人たちに指図をし、
その仕事を監督し、不具合を是正していく
職人さんたちはプライドもあり、これがとてもとても大変だと思う。
良い家を建てるには、現監督さんの腕次第なんだと実感した。
その代り、良い家を建てるという熱意のある方に仕事をしてもらうと、
現場の雰囲気は良いものとなり、おのずと家もしっかり出来上がっていくようだ。
我が家を担当してくれたのは40そこそこかの、若いころから現場監督の下積みをしてきたという人で、
温厚だが粘り強い人で、間違いなく仕事を成し遂げてくれた。
この人が一番大変だったと思う。
無事に建ったのはこの人の力によるところが大きい。
それが、
23歳… 国立競技場って国家プロジェクトじゃないか…
23歳て、社会人として働いて二年目というじゃないか…
現場監督という仕事は、体力だけではやりきれない仕事だと思う。
体力に合わせて、知識や経験がものすごく物を言うと思う。
いくら昨今の大学は即戦力を要請しているとはいえ、作ろうとしているのは国立競技場だ。
経験している人間はどれほどいたのか?
それを、そんな若い人に担わせるってありなんだろうか?
よくわからない…
よくわからないが、私は、なんとも言えない気持ちを抱えている。
23歳…おそらくオリンピックに代表として出場する選手と同じ世代だろう。
スポーツ選手の夢をかなえるそばで、建築の世界に羽ばたこうとした若い人の命をすりつぶしてしまった。
大人はこれを猛省しなければならない。
そして大人とともに、若い同世代の人も彼のことを忘れないようにしなければならない。
誰かの命をすり減らしてまでも、やらなければならないことって、
参加することに、より意義のあるオリンピックではあり得るはずもなく、
そのほかにもそうそうはあるとは思えないのだ。
東京オリンピック 今からでも遅くない、できませんと返上してもいいのではないか?
残念で、残念でたまらない…死んでしまった君に言いたい。
逃げ出してよかったんだ。
すべてを投げ出して、それでよかったんだ。
君が生き続けることの方が、はるかに大切なことだったんだと私は思うよ!
合掌