ロシアの提案でシリアのBC兵器を国際管理することになりそうである。実現できればスバらしい外交の勝利である。が、残念ながら実行面で大いなる疑問がある。
先ず、シリア政府のガバナンスの問題がある。内戦状態であるため、お互いに「BC兵器使用」と主張していたのだから。敵対勢力の地域にBC兵器を移動させ隠した場合、お手上げとなる。エネミィー・ラインを引くのはシリア政府であり国連ではない。
他国の軍事施設への監査そのものが非常に困難なのは、ロシアも中国も同じである。本当にBC兵器のある場所で査察をやらせるか、北朝鮮の核査察の事例でもわかるではないか?
ロシアは国連のBC兵器査察に問題があれば「今度は安保理で攻撃賛成に回る」としているが、シリアの協力的行動に疑問符を投げかける国も多い。
しかし、地理的に考えれば米国や欧州を襲うテロより、ソチ冬季オリンピック会場が遥かにシリアには近い。まして近隣のカフカス地方にはチェチェンなどのイスラム過激派の巣がある。ロシアにBC兵器の洗礼がある可能性も否定できない。その場合ロシアはシリアに攻撃する意図があるのかもしれない。シリアの軍港を借用しているロシアとしては飛地でもこの軍港をロシア領にすることは国益に適っている。シリアのBC兵器がロシア国内で使用されることを前提に戦略を練っている可能性も否定できない。陸続きのロシア領内でチェチェンの武装勢力等がBC兵器を使用させ、シリアに侵攻。有り得るシナリオである。
国際政治とはそこまで人間性を貶めて、考慮する必要がある。それが国際政治の常識である。綺麗事の寝言では食われるだけである。日本の左翼の主張を省みるに中韓への寝言のために日本経済は痛い目にあった。民主党政権が改善できなかった「円高」で、日本の企業は幾つか消え、中韓の企業が発展した。しかし円高基調が無くなるにつれ日本企業は息を吹き返した。左翼の寝言など国際政治では食われるためのエサにしかならなかった、事例でもある。
左翼の方々の世界と一般社会は大きく異なる。それは百の名言より、一つの実績である。実績無き者は去れ、これが健全な社会の姿である。