文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

日本版ピューリツアー賞に値する今週号の週刊ポスト特集は続く。

2011年05月06日 21時06分22秒 | 日記
昨晩、現首相の突然な発表、あれは一体、なんなんだろうね。

それと経産相がその後に記者会見で話していた内容は、今回の週刊ポストの指摘が正しかった事を100%裏付ける様な話だった。代わりの電源を質問されて彼が答えた事は、皆さんも観ていたのではないか。

彼は言った。「火力と、あと、揚水発電ですね」これで代替できます。と。

思うに、今回のポスト誌の検証は、それほどに真実で、彼らの心胆を寒からしめた記事だったのだろう。

それで、昨晩の、一体、何なんだよ、という突然の発表。芥川思うに、こういうやり方は、「下品」、な者に共通のやりかたなんだと思う。*「下品」とは仏教用語である、上品、中品、下品。人間が染まる3種の悪に浸かった人間たちの世界を表現する言葉。

己の欲望の為に平気で他者を利用する。利用した結果が露呈したら次の話題を持ち出して追及をそらす。
こういう有様を、当然な人間の心情の発露で正そうとした者たちを、十羽ひとからげに、党内抗争だとか、政争だとかのレッテルを張る論説員たち。こんな内閣を選んだ、選ばせたのは、お前たちじゃなかったのか。

こんな内閣をいつまでも座視することしか出来ないのなら、お前達も、選んだ国民の大半も、貴方がたも、今後一切、政治について等、語る事は止めたら良い。…日本に希望はない。デフレ脱却など出来る訳もない。

めいめいが、己のケチな金儲けの為にいそしんで、利己主義の塊となって、国を潰すのみだし、そうすれば良いだろう。
それだけの哲学の国だったのだということで、もはや、何一つ、賢(さか)しらなことを言う必要もなかろう。

精神年齢12歳のままで、「下品」、の悪人たちが跳梁跋扈する国のままで、南無阿弥陀仏と唱えたら、何でも許されるんだとして、生きて行けば良いだろう。終に世界をリードすることなど何一つ為さず、愚かなままで衰亡して行く。

そんな国なんだと知って、「下品」、の悪を突っ走れば良いだろう。

ただ、芥川は言う。そこには、どんな芸術も在りはしない、と。

だから、おためごかしは、もう止めて、自分達の愚かしさを前面に出して、「下品」、の餓鬼として衰亡して行けば良い。




それでは以下にポスト誌の続き。財務省は「来秋に消費税10%」狙い

そして、3つ目の大嘘が進められている。
 
菅首相は4月11日に「復興構想会議」を設立した。被災地復興のグランドデザインを決める、いわば日本の未来像を描く大仕事を担う重大な会議だ。ところが、そこにはなぜか政治家もいなければ大臣もいない。民間人の学者や、失礼ながら「国家建設」には縁の薄そうな文化人が並ぶ。これで「政治主導」や「政府の責任ある姿勢」が担保されるとは到底思えない。
 
その会議の初会合(14日)で、さっそく菅政権の企みが透けて見えた。議長に就任した五百旗頭真・防衛大学校長はこう宣言した。「復興のために要する経費は神戸の比ではない。国民全体で負担することを視界に入れないといけない」
 
都市再生ではなく、のっけから増税の話であった。菅政権の悲願である大増税を、〝民間中心の会議"の名を借りて推進しようという魂胆が丸見えである。
 
案の定、振り付け役は財務省だった。元財務省理財局長の佐々木豊成・内閣官房副長官補が同会議の事務局である「被災地復興法案等準備室」の室長に潜り込んでおり、会議を裏から操る重要ポストを握った。
 
内閣府に出向中の財務省中堅はそれを隠そうともしない。
 
「五百旗頭議長は政治・外交史が専門だが、政府の審議会委員をいくつも務めてきたから財務省とパイプが太い。いきなり復興増税を打ち上げたのは、佐々木さんが、〝財源論を後回しにしたら思い切った復興ができなくなります"とアドバイスしたからです。
 
財務省は与謝野馨・経財相が主導していた税と社会保障の一体改革を検討する集中検討会議を一時休止させ、復興構想会議で先に増税案をまとめるつもりです。五百旗頭復興増税で3%上げ、与謝野さんの社会保障一体改革で2%上げる。合わせて来年秋に消費税率10%を目指す」
 
菅内閣が第一次補正予算に「年金財源を復興に回す」方針を盛り込んだことも、「年金まで使わなければならないほど国の台所は厳しい」と見せかける増税の布石だという。「大停電ブラフ」と同じ霞が関の手法だ。
 
騙されてはいけない。増税などしなくても復興財源に充てることが可能な不要不急の予算は山ほどある。
 
今年度予算の公共事業費を見ると、整備新幹線に2950億円がつぎ込まれるが、その半分以上(1780億円)が自民党の森喜朗・元首相の選挙区(石川2区)を通る北陸新幹線に充てられる。過去最高の事業費だ。
 
建設中止か続行かの方針が決まっていない八ッ場ダムには、付け替え道路建設などに140億円もの予算がついた。県営発電所(―万1400キロワット)の併設計画があることから、菅政権の「電力不足」キャンペーンに便乗した建設推進論が高まっている。こうしたダム事業全体の予算は2478億円に上る。
 
自民党を離党して菅政権にすり寄った野中広務・元自民党幹事長が会長を務める全国土地改良事業団体連合会の土地改良予算(農水省)は昨年度より約12%増の2397億円。減反政策の一方で農地を造成するという大きな矛盾を抱える同予算は、政権交代直後に当時の小沢一郎・幹事長が「半減する」と大ナタを振るったが、それを仙谷由人氏が野中氏とのパイプで復活させた経緯がある「いわくつき事業」だ。
 
こんな予算は全額カットし、まさに土地改良が必要な被災地に投じることに反対する国民はほとんどいないだろう。
 
役人のヘソクリもある。特別会計には国債整理基金の約16兆円、外国為替特別会計の剰余金31兆円などがある。
 
会計検査院の飯塚正史・官房審議官は、前々年度の決算剰余金を今年度予算に繰り入れる現行の会計方式を改め、その年度の剰余金は次の年の予算に充てるルールにするだけで、増税なしで「30兆円」の復興財源が生まれると、決算のプロならではの指摘をしている。しかし、役人に優しい菅政権はこの埋蔵金に手を付ける気はない。
 
債権の取り立てもできるはずだ。日本政府は米国債を約60兆円保有している。菅首相がオバマ政権に「30兆円分の米国債を売却させてもらう」と宣言すれば、たちどころに復興費用は捻出できる。それこそ〝トモダチ"ではないのか。また、円借款残高が3兆円ある中国に「このような状況だから、返済してもらいたい」と求めてもいい。
 
ところが菅政権は逆に、米国に思いやり予算を差し出すことを決めた。増税で国民の財産を奪っても、米国の利益を分けてもらうことは絶対にやらない。
 
本当の「財源」を隠して増税を推し進めるのは、役人と政治家に30兆円の復興財源を配分して「政権の安泰」を図りたいという、100%利己的な動機であるといわざるを得ない。

今回の週刊ポストの特集記事には日本版ピューリッツァー賞が与えらるべきだろう。

2011年05月06日 08時27分00秒 | 日記
福島県に「公表するな」圧力

原子力安全委は本誌取材にこう答えた。
 
「原発からの放射性物質の放出量が掴めず、拡散の定量的予測ができなかった。むやみに混乱を生じさせることになると判断し公表を控えました。2枚だけは正確なデータだったので公表しました」
 
理由は本当にそれだけだろうか。
 
嘘の検証の前に、一番大事な「放射能被害」について触れなければならない。
 
3月23日に公表された試算図(40ページに掲載)を見ると、放射性物質が北西方向に拡散していることがわかる。当時、屋内退避区域となっていた30キロ圏の外側にも大きくせり出している。当初から区域外なのに放射線量が高かった飯舘村などがすっぽり覆われており、「定
量的」ではなくとも予測はかなり正確だったことがわかる。
 
それだけに罪は重い。このシステムを正しく運用していれば、飯舘村などの住民を速やかに避難させ、被曝を防げたからである。枝野幸男・官房長官らはそれら地域に対し、ずっと「安全だ」と言い続け、それからも長く放射線量が下がらないと、ついに4月11日になって、同町などを「計画的避難区域」という法律にも定めのない適当な名をつけて〝やっぱり避難して″と方向転換した。住民たちの1か月間の被曝は、明らかに「政治犯罪」により引き起こされたものだ。
 
嘘の検証に移る。

原子力安全委は、まるで「2枚以外の予測は意味がなかった」といいたげだが、そんなことはない。
 
原子力安全委の専門委員を務めた経験を持つ武田邦彦・中部大学総合工学研究所教授が指摘する。
 
「確かにSPEED1では放射性物質の量がわからないと飛散『量』の予測はできない。ただし、どの地域に多く飛散するか、どの地域のリスクが高いかという相対的な予測は可能です。政府は12日段階で半径20キロ圏内に避難指示を出したがSPEED1の予測を踏まえていれば、その圏外でもリスクの高い地域に警戒を呼びかけることができたと考えられます」
 
事実、放射性物質は北西に吹く海風に乗り、地元で古くから「風の道」と呼ばれてきた室原川沿いを遡って飯舘村に降り注いだ。同村でモニタリングが始まった3月18日時点でも、毎時30マイクロシーベルトという高い数値が検出されていたのである。
 
東電は地震発生翌日の12日に1号機と3号機で炉内の圧力を下げるために放射能を帯びた水蒸気などを建屋外に放出する「ベント」に踏み切り、13日には2号機でも実施。さらに、15日にはフィルターを通さない緊急措置である「ドライベント」も行なった。この夕
イミングで大量の放射性物質が飛散したことは間違いない。それはモニタリングのデータもはっきり示している(50ページ参照)。
 
だが、枝野官房長官は1号機のベント後に、「放出はただちに健康に影響を及ぼすものではない」(12日)と発言し、20キロ圏のみの避難指示を変更しなかった。センターの証言によれば、枝野氏はSPEED1のデータを知っていたはずだ。
 
SPEED1を担当する文科省科学技術・学術政策局内部から重大証言を得た。
 
官邸幹部から、SPEED1情報は公表するなと命じられていた。さらに、2号機でベントが行なわれた翌日(16日)には、官邸の指示でSPEED1の担当が文科省から内閣府の原子力安全委に移された

*ヘリコプター帰還命令事件をアエラは報道した訳ですが、この後の、東電・清水社長の入院と文脈は同じだと芥川は考える。
 
名指しされた官邸幹部は「そうした事実はない」と大慌てで否定したが、政府が〝口止め″した疑いは強い。なぜなら関連自治体も同様に証言するからだ。
 
システム通り、福島県庁にISPEED1の試算図は当初から送られていたが、県は周辺市町村や県民に警報を出していない。その理由を福島県災害対策本部原子力班はこう説明した。
 
「原子力安全委が公表するかどうか判断するので、県が勝手に公表してはならないと釘を刺されました」
 
福島県は、玄葉光一郎・国家戦略相や渡部恒三・民主党最高顧問という菅政権幹部の地元だ。玄葉氏は原子力行政を推進する立場の科学技術政策担当相を兼務しており、渡部氏は自民党時代に福島への原発誘致に関わった政治家である。
 
この経緯は、国会で徹底的に解明されなければならない。「政府が情報を隠して国民を被曝させた」とすれば、チェルノブイリ事故を隠して大量の被曝者を出した旧ソビエト政府と全く同じ歴史的大罪である。

しかも、その後も「安全だ」と言い続けた経緯を考えると、その動機は「政府の初動ミスを隠すため」だったと考えるのが妥当だろう


文中黒字化は芥川。

すると今度は〝それでは多すぎる″と修正を求められたようだ。…5.6/13号、週刊ポストから。

2011年05月06日 08時03分10秒 | 日記
「揚水発電は夜間の余剰電力を使って水を汲み上げる仕組みですから、夜間にどれだけ安定的に余剰電力を揚水に供給できるかがポイントです。400万キロワットの根拠になる夏の夜間電力の見通しを精査すればさらに供給力が増える可能性がある」
 
環境エネルギー政策研究所の松原弘直・主席研究員はこういう。
 
「電力会社は通常、電力需要が下がる夜間は火力発電の出力を下げて運転する。コストがかかる方法ではあるが、夜間も火力発電の出力を下げずに揚水発電用の水をポンプアップすれば、揚水発電の供給力を増やすことができるはずです」
 
さらに東電幹部自らが、「揚水発電力の過少申告」を認める発言をしていたことも突き止めた。
 
本誌発売日の18日に、民主党は「電力需給問題対策プロジェクトチーム」を設置し、翌19日の初会合には細野哲弘・エネ庁長官や東電役員らが出席して需給計画を説明した。この会合に参加したある議員が本誌報道を前提に、「実際に揚水発電で見込める供給力の上限はどの程度か」と質したところ、東電役員は。「850万キロワットまでは可能です」と明言したというのだ(役員の発言について東電は「確認できない」と回答)。
 
前出の経産省幹部が語る。
 
エネ庁から揚水を供給力に含めるよう指示された東電は、昨年の夏期の夜間余剰電力などをもとに850万キロワットという数字を報告した。すると今度は〝それでは多すぎる″と修正を求められたようだ。東電役員は、その隠すはずの試算だった850万キロワットという具体的な数字を思わずロにしてしまったのだろう
 
枝野長官も含め、嘘がバレても「次の嘘」で塗り固めようとする政府の品性の卑しさには反吐が出る。しかも、「850万」が昨年実績の数字ならば、やはり専門家の指摘通り、火力のフル稼働などで揚水の最大出力「1050万」も実現できる可能性が高まった。
 
第一生命経済研究所は、電力不足による経済活動の低下で今年の実質国内総生産が3・9兆円ダウンすると試算している。それが政官と東電の原発利権のためだとすれば、国民や企業は彼らに「損害補償」を求めるべきではないか。

文中黒字化は芥川。

経緯を知る経産省幹部が明かす。…5.6/13号、週刊ポストから。

2011年05月06日 07時51分36秒 | 日記
その締め切り日だった4月14日、揚水発電についてエネ庁を直撃すると、狼狽した様子で極秘資料の存在を認め、「確実に発電できるものしか供給力には含めない」(電力基盤整備課)と苦しい回答に終始した。
 
が、同庁は本誌取材の直後、舌の根も乾かぬうちに、「全く別の指示」を東電に出した。翌15日夕方、東電は一揚水発電の400万キロワット、震災で停止中の共同火力発電所(※②)の再稼働110万キロワットなどで550万キロワットの上乗せが可能になったため、7月末の供給力は5200万キロワットになった」と発表したのである。
 
経緯を知る経産省幹部が明かす。
 
「『ポスト』が取材をかけたあと、エネ庁から東電に揚水の一部を供給力に含めろと指示が下った。記事が指摘していた通り、これまでエネ庁は東電に〝原発の必要性がわかる資料″を要求してきたから、彼らも、突然の方向転換に面食らったようだ」
 
要は「電力隠し」を見抜かれたエネ庁と東電が、本誌スクープで国民裏切りの大嘘がバレるのを恐れ、発売前に大慌てで供給力の水増し調整を行なったというわけである。
 
それでも枝野幸男・官房長官は15日の会見で、「これで需給ギャップが埋められるものではない」と強調した。まだ〝原発は必要″という嘘にしがみつく醜いあがきだったが、弥縫(びほう)策はまた綻(ほころ)ぶものだ。
 
まずは大山力・横浜国立大学大学院教授(電力システム工学)の説明を聞こう。
 
「揚水発電は夜間の余剰電力を使って水を汲み上げる仕組みですから、夜間にどれだけ安定的に余剰電力を揚水に供給できるかがポイントです。400万キロワットの根拠になる夏の夜間電力の見通しを精査すればさらに供給力が増える可能性がある」
 
環境エネルギー政策研究…以下続く。

(※②)共同火力発電所/東電が他社と共同で出資・運営し、電力供給を受にる火力発電所のこと。15日に発表された見通しでは、鹿島共同火力(出資は粟電50%、住友金属工業50%)の1、3、4号機と、常磐共同火力(出資は東芝49%、東北電力49%など)の8、9号機が今夏までに再稼働するとされた。

「ポストが書く」で大慌て…5.6/13号、週刊ポストから。

2011年05月06日 07時28分30秒 | 日記
「真夏の大停電」で国民を脅し、財源を隠して「増税」を推し進め、挙げ句の果てには放射能汚染データを握りつぶして被災者を被曝させたー。国民の生命と財産を踏み台にして権力にしがみつく菅政権は、もはや国家の敵そのものだが、それを許しているのが、利害を同じくする霞が関、そして大新聞だったことがはっきりわかった。本誌が突き止めた3つの大嘘から、「政・官・報トライアングル」の許されざる背徳の大罪を白日の下に晒す。

「ポストが書く」で大慌て
 
本誌前号「『原発完全停止』でも『停電』なし」が、政府と東電を大慌てさせた。
 
震災対応そっちのけの大騒ぎは呆れるしかないが、彼らにはそれほど「痛いところを突かれた報道」だったのだろう。
 
本誌がスクープしたのは資源エネルギー庁作成の「東京電力の設備出力の復旧動向一覧表」という極秘資料だ。これには7月末の東京電力の供給能力が「4650万キロワット」と記され、これが「真夏の大停電が起きる」という政府の〝脅し″の根拠にされた。

ところが資料を子細に検証すると、ここには東電管内全体で1050万キロワットの発電力を持つ揚水発電(※①)が全く含まれず、停止中の火力発電所も加えられていなかった。これらを含めれば、企業や一般家庭に使用制限を設けずとも「真夏の大停電」は回避できる。それをしない背景には、与野党政治家の「原発利権死守」の思惑があった、というのが前号の概要である。
 
その締め切り日だった4月14日、揚水発電についてエネ庁を直撃すると、狼狽した様子で極秘資料の存在を認め、「確実に発電できるものしか供給力には含めない」(電力基盤整備課)と苦しい回答に終始した。
 
が、同庁は本誌取材の直後、舌の根も乾かぬうちに、「全く別の指示」を東電に出した。翌15日夕方、東電

…以下続く。

※①)揚水発電/水力発電所を挟んで上貯水池と下貯水池を作り、夜間などの余剰電力を利用してポンプで水を汲み上げにの作業を「揚水」と呼ぶ)、昼間の電力雙用ピークの時間帯に水を流下させて発電する仕組み。

IHI、貯蔵タンク生産 火力発電向け需要増見込む…5/5、日経7面から。

2011年05月06日 07時19分50秒 | 日記
IHIは2012年春にも洋上液化天然ガス(LNG)開発で使う大型貯蔵タンクの生産に乗り出す。愛知工場 (愛知県知多市)に国内初となる専用ラインを新設、今後、ブラジルなど世界で広がる洋上LNG開発に向けて受注体制を整える。原発事故の余波でLNGを使った火力発電の需要も拡大するため、三菱重工業などライバル各社も有望事業として洋上LNG関連の強化に乗り出す見通しだ。
 
愛知工場に約50億円を投じて自動溶接の機械など専用生産設備を新たに設置する。生産するのは容量20万立方メートル級のアルミ製タンクで、生産能力は月に1基。内部に特殊な加工を施し、波で揺られても中のLNGが気化しにくいよう設計する。
 
海底の天然ガスを真上にくみ上げて液化する洋上LNG開発は、陸上の液化施設までのパイプラインなどが不要。これまでコストとの兼ね合いで開発を見送っていた陸地から遠い沖合のガス田事業化が可能になる。固い地層の隙間にとじ込められた「シェールガス」と呼ぶ新型ガス田開発と並び、世界各国で注目が集まっている。
 
ブラジルの国営石油会社ペトロブラスは14年の稼働を目指し、今夏にもプラント会社を対象とした国際競争入札を実施する予定。インドネシアでも国際石油開発帝石(IXPEX)が計画を検討中だ。IHIはこれらのプロジェクトで貯蔵タンクの受注を狙う。ペトロブラスの入札が予定通り進んだ場合、タンクの発注は13年ごろになる。
 
洋上LNGでは1プラントあたりの事業規模は3千億円を超え、タンクは3基程度が必要とされる。すべてのタンクを受注できれば1プラントで百数十億円規模の受注を見込める。
 
洋上LNG開発では三菱重工業も専用タンクの受注を目指している。LNG運搬船で使われる球形タンクをプラントにも使う戦略で、新たな設備はつくらない。韓国のサムスン重工業もIHIからの技術供与でタンクの生産を予定している。