以下は前章の続きである
金正恩が突如北京に行った。
その少し前に永世独裁者に就任した習近平はとても嬉しそうだった。
金正恩は相対で語る習の言葉を必死にメモる映像があった。
北では金正恩が語る言葉を側近が懸命にメモる。
それが忠誠の形で叔父の張成沢はそれをしなかった。
ために対空機関砲で粉々にされた。
あれは金正恩の絶対服従のポーズだった。
習もそれを受け、3メートルもある景徳鎮の花瓶と辰砂や白磁の器、茅台酒など総額40万ドルの手土産を持たせた。
かつての朝貢外交をそのままに再現した。
因みに昔、李氏朝鮮が持っていった朝貢の品はすごく貧相だった。
それで支那は「朝貢が鮮ない」から「朝鮮」を国名にさせたという説がある。
*韓国人が朝鮮人と呼ばれることを嫌がる理由を高山正之は解明しているのではないか*
それにしても張成沢を処刑し、金正男を暗殺し、北京にも核をぶち込むと凄んだ金正恩がなぜ頭を下げる気になったのか。
理由の一つはこの電撃訪問の直前にあった強硬派ボルトンの大統領補佐官就任で、もう一つが同じ時期に米通信衛星のGPS機能が突如止まったことだ。
機能停止はごく短時間だったが、米国はシリア攻撃だとかこのごろの戦争の直前には必ずGPSを止めている。
それで金正恩は震え上がったというのだ。
一方、習近平はどうか。
せっかく永世独裁者になったもののトランプの出方が彼の想定を超えていた。
トランプは行き当たりばったり風に見えるが、就任のときの公約通り知財泥棒の支那に5兆円の高関税をかけてきた。
おまけに「一つの支那なんて聞いたことがない」と就任間もなく発言した。
朝日新聞が「いやトランプは心の中で支那は一つと言っている」とかやったが、ここにきて米・台の閣僚級交流もOK、潜水艦技術も提供しようと言い出した。
ハンティントン「文明の衝突」では支那は日本を取り込み、台湾にも侵攻する。
米国はそこまでは譲歩するが、次にベトナムを取ろうとして第3次世界大戦が始まると想定している。
しかし現実には日本の支那アレルギーは極限に近い。
加えて米国も支那の台湾侵攻を認めないことを今度のアクションで示した。
寂しいとき、金正恩がきてくれた。
永世独裁者はとても嬉しかったのだろう。
*高山正之は戦後の世界で唯一無二のジャーナリストであるとの私の評に、正にその通りと同意する慧眼の士は世界中にいるはずである。*