以下は前章の続きである。
小泉元総理の軽率
とにかく、日本社会の劣化現象が、目の前で展開しているようで非常に危機感を覚えます。
小泉純一郎元首相が、「安倍晋三首相の三選は難しい」とインタビューに応えていました。
あまりに無責任な発言であり、憤りすら覚えます。
そもそも元総理で、安倍首相を自ら引き上げた小泉さんが、公の場でそのような発言をすること自体がおかしい。
それ以上に腹立たしいのは、本当に客観性を持って、安倍さんの三選が本当に難しくなったと言っているのかどうか。
国民の支持率が下がってきたとは言え、三割以上あります。
それに総裁選は、自民党議員四百人が投票で決めます。
安倍さんを支持するのは、清和会、二階派、麻生派。この三つが合わされば、約二百人ですから、そこで過半数が見込める。
ポスト安倍と目されている石破茂さん、野田聖子さん、岸田文雄さんの票が伸びているのかというと、そんな話は一度も聞いたことがありません。
むしろ石破さんの場合は、安倍首相の立場が弱まっているときに、後ろから矢を放っているイメージが強い。
一般国民のイメージとは違い、自民党内から、裏切り者的なイメージが強いので忌避される可能性が高まっていると思います。
こういう状況を見て、小泉さんは発言しているのか。
いや、まったく根拠がないように思います。
「なんとなくそんな気がする」という程度の発言ではないでしょうか。
小泉さんの評価は毀誉褒貶、功績もあれば、負の遺産もつくった人だと思います。
ただ、非常に潔いやめ方をしたな、という印象を抱いていました。
通常は、総理特使になり、外国の大統領の就任式に出席したりなど、公務を手助けする立場になることが多い。
でも、小泉さんは一切手を引いて、まったく政界にかかわらなくなった。
ところが、4年前の東京都知事選で細川護熈さんを担ぎ出して、「原発反対」の姿勢を鮮明に打ち出して以来、歯止めがきかなくなってしまいました。
最近の見苦しい安倍首相叩きをはじめとして、「晩節を汚すとは、こういうことか」という気がします。
小泉さんの発言に伴ってか、息子の進次郎さんの評価も芳しくありません。
進次郎さんの発言内容を聞いていても、言葉巧みに大向うウケを狙っているようですが、本質論から外れているような気がします。
確かに内外で安倍叩きが喧しいですから、自民党内でも安倍さん忌避の感情が生まれていないこともありません。
しかし、政党別で各紙の世論調査を見ると、自民党支持率は下降傾向にないのです。
朝日では「安倍内閣支持 低迷31%」という見出しで記事が書かれていましたが(四月十六日付)、本文を読むと、「前回の調査(3月17、18日実施)と並び」と書いてある。
つまり、その後、財務次官のセクハラ問題や日報問題などが取りざたされましたが、別に支持率が大幅に下がったわけではなかったのです(笑)。
また、日テレの世論調査によると、二六・七%と低い数字を示しましたが、固定電話の聞き取り調査だけです。
日中、自宅にいる六十代、七十代の、もともとアンチ安倍世代の人たちばかりに聞いていることが想定される。
しかも、有効回答者数はたったの七百七十二人ですから、はたして、これが世論と言えるのか、はなはだ疑問です。
この稿続く。