以下は昨日の産経新聞に一面、世界裏舞台、作家佐藤優と題して掲載された論文からである。
私はマスメディアがある時期から彼を異様に持ち上げて来たのはマスメディアの世界で生計を立てている人間たちの大半が極めて勉強不足であることの裏返しに過ぎないのだと確信しているから、彼の論文は殆ど読まないのだが、今回の論文だけは100%評価する。
同時に読者は、先日、私が、トランプ大統領がイランとの核合意から脱退した際に真っ先に発信したイランの実態についての章と彼の論文は通底している事に気づいたはずである。
この論文は、おそらく朝日新聞等だけを読んで日本や世界の政治を語っているNHK・watch9の制作部と有馬と桑子たちは括目して読まなければならない論文である。
もし彼らがこれからも日本や世界の政治を日本国民に説教するが如くに語りたいのであれば。
…彼らは事実だけを伝えるべきであって、幼稚で愚かで浅はかな自分たちの自虐思想や似非モラリズムやポリティカル・コレクトネスなどを語ってはいけない、自分たちはそんな器ではない事を知るべきだし、そもそも、事実以外を語ってはいけないのであり、それが放送法を順守すると言う事である事に気がつくべき時は、とうに来ているのである。
有馬や桑子が安倍首相やトランプ大統領を平然と批判しているなどという構図自体が全く言語道断なのである。
見出し以外の文中強調は私。
イランの危険性
わが国の政治家やマスコミ関係者は北朝鮮情勢の激変に関心が集中していて、イランをめぐりトランプ米大統領が行った決断の意味を過小評価している。
8日、トランプ氏は演説を行い、2015年に米英仏独露中の6カ国とイランが結んだ核合意からの離脱を表明した。
同時にこの合意に伴って解除した対イラン制裁を復活させる大統領令に署名した。
9日の産経ニュースによると、トランプ氏はオバマ前政権が結んだ核合意が、イランによる弾道ミサイル開発や世界各地でのテロ組織支援に対する制限を対象としていないことが問題であると指摘。
25年以降に段階的に核開発制限が解除されるなどの欠陥があるとし、「ひどく、一方的な合意であり結ばれるべきではなかった」と批判した。
イランの中央銀行と取引する金融機関やイランの石油輸出に関わる一部の制裁解除を継続するかを判断する次の期限が12日に迫っていたが、トランプ氏はその他の核合意関連の制裁も含めて「最高レベルの経済制裁を科す」と強調し、全面的な制裁になるとした。
トランプ氏はイランとの核合意について、「ひどく、一方的な合意であり結ばれるべきではなかった」と述べたが、この認識は正しいと思う。
合意の中核的部分に欠陥があり、イランのウラン濃縮技術が保全されるのみならず、軍関係施設への査察も制限されている。
また、弾道ミサイル開発規制が含まれていない。
この合意は事実上、イランの核開発を容認する意味を持っていたのだ。
イランに対する制裁を米国が再導入するのは当然だと思う。
イランでは、大統領は国民の直接選挙によって選ばれるが、その権力は限定的だ。
国家意思を事実上決定するのは、最高指導者のハメネイ(ハーメネイー)師だ。
9日、ハメネイ師は米国だけでなく、英国、フランス、ドイツを激烈に批判する演説を行った。
イラン政府が運営するラジオ兼インターネット「ParsToday」は9日、演説についてこう報じた(日本語版)。
〈イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、ヨーロッパ3ヵ国との核合意の継続に触れ、『ヨーロッパ3ヵ国との協議について、彼らを信用すべきではない。あらゆる協定に関して具体的な真の保障を取り付ける必要があり、そうでなければ、活動を続けることはできない』と強調しました。ハーメネイー師は9日、教師週間に際して数千人の教師や大学生を前に演説し、アメリカのトランプ大統領が8日夜に行った、軽薄で愚かな発言に触れ、 『この人物は明らかな嘘を10回以上述べた上に、イラン国民とイスラム体制を脅迫した。私はイラン国民を代表し、彼にこう言いたい。“あなたには何もできない”』と述べました〉
そう遠くない時期に、イランは核開発を再開すると思う。
そうなると中東地域全域に激震が走る。
特に注目されるのがサウジアラビアヘの影響だ。
インテリジェンス関係者は、サウジアラビアとパキスタンの間に秘密協定があると考えている。
秘密協定なので、当然、表には出ていないが、その内容は、イランが核兵器を保有したら、直ちにパキスタン領内にある核弾頭のいくつかをサウジ領内に移転するというものだ。
そもそもパキスタンの経済力で核兵器を開発することはできなかった。
資金はサウジが提供した。
それだからサウジはパキスタンが持つ核兵器のオーナーなのである。
オーナーが「寄越せ」と言えば、パキスタンがそれを拒否することはできない。
米国がパキスタンからサウジヘの核兵器の移転を実力で阻止すると米・サウジ関係が決定的に悪化する。
従って、米国はこの移転を黙認せざるを得ない。
サウジが核兵器を保有すると、アラブ首長国連邦、クウェートなどはパキスタンから核兵器を購入し、エジプトは自力で核開発を行うであろう。
こうして深刻な核拡散が始まる。
このような事態を防ぐためにも、危険国家イランに対する国際圧力を強め、イランの核開発を止めることが重要だ。
日本の民間企業は、カントリーリスクを冷静に計算して早急にイランから手を引いた方がいいと思う。