関心空域 ━━ す⊃ぽんはむの日記

元「関心空間」の日記(引っ越し後バージョン)です♪

能古島(福岡市)に「かいわれ」の語源・・・という破天荒なデマ! ─── 【ネット上の「通説」、オカしくないか】シリーズ(3)

2013年06月09日 | 日記

この『オカしくないか』シリーズ、1年に1回更新^^;というスゲぇ息の長いテーマと化しましたが、本当にネットとゆーやつは、困ったモノ。しょせんは「クチコミ」伝達網の拡張系に過ぎないのであって、「真実の共有」という理想には程遠い「質の悪さ」や弊害を露呈しつづけております。

今もなお、根拠や論理に乏しいウワサやデマの類(たぐい)に、あっという間に「信憑性もどき」が付与され、まるで「もともとが偽りのない真実であった」かのよーに「知識」化されてしまう、という状況は憂いて済むような段階をすでに越え・・・実にもって!嘆かわしい様相なのですよ^^; 

よーするに、リツィート、ってか「引用」の濫用状況こそが、一番のクセ者。 引用元を明かせば真実、ってワケじゃない。 引用があるなら、無条件にすぐに引用元を辿って、その全文(か少なくとも前後)を読む! そうした上で「はじめて」真偽のホドを判断しなきゃイケない。 なのに、ネットに惚けた思考停止な連中ときたらその必須作業を素通りして結論?に飛びつき、あたかも「知識」化した気でいる。 当然、あいまいさの連鎖は真実度をどんどん希釈してゆき、人から人へ。耳から耳へ(ネットの場合、目から目へ)。 ついには、正しい理解とはかけ離れた「デマにもとづく価値判断」をする悪癖になっちまうのですねえ^^;;

さて、例によって前フリで脱線し過ぎた。憤怒の感情は(ひとまず)置いといて。

本日の話題は「かいわれ大根」の、かいわれ。

「かいわれ」が「貝割れ」の意であるコトに対しては、(一貫して)大きな異論は出ていない。 問題は、「なぜ、《貝割れ》と呼ばれるようになったのか」という点 ──。

ネット社会が勃興する以前の2000年くらいまでは、確固たる定説があった。 種子から発芽したダイコン(などの根菜類)が子葉を開く様子が「貝が割れたよう」であり、その時点で摘み取った苗が近世より広く「貝割り菜、貝割れ菜」と称して市中で売られ、庶民に食されてきたため、というのである。

動かぬ証拠として、すでに江戸期の俳句界において「貝割り菜、貝割れ菜」が仲秋の季語として確立していた、という事実がある。


なのに…❕❔❕❔

ひとたびネット社会が現出するや、ここホンの5~6年のうちに、その定説を根底から無視する「新・常識」なるモノがバーチャル界を「独り歩き」しはじめた。 今もなお存命で元気な、福岡市能古島に在住する老起業家の前田瀧郎という爺さんが、「個人で発案したネーミング」だと言うのである。

つけええ(糾弾)

そもそも、それ以前から全国的に栽培されていたのに、ナンでそんな法螺話が「堂々と通って」しまったのか!?!?

ひとつには、この爺さんが老齢であり、すでにあった「大根のかいわれ」を、あえて「かいわれ大根」とネーミングして出荷した(のは自分が最初なんじゃ!)とだけ主張すべきであった。 しかし、自慢話を正当化したいあまり、長い人生のうちに「そもそも、《かいわれ》だって、わしがアサリの貝殻を割って砂に混ぜたところから・・・」と余計な「尾ひれ」を付けるようになった。 その(付加的な)作為によって、おそらくは言った当人も想定しない「トンでも〈語源〉常識」が、ネットで正統化される誤りを生んでしまったのであろう。

今や福岡の観光業者たちは、能古島が「かいわれ大根、発祥の地」と信じて疑わない。 半分は当たっているかもしれんが、半分はデマだ。 「かいわれ大根」という名称のコピーライターは能古島にいる(かもしれない)が、「かいわれ」が能古島から全国に広まったワケ^^;ではない。 

話がオカしくなった「最初の」きっかけも、容易に想像がつく。

日本人の間に俳句読みの習慣が廃れ、1996年のO-157騒動で急にまた脚光を浴びた「かいわれ」。 多くの人が「ところで、かいわれの語源って?」と、そのとき同時に思ったろう。 そのタイミングで福岡の商売爺さんが「わしじゃよ」と言い出せば、その後の加速度的なインターネット普及で、「そっちの俗説ばっかりが」俳句の常識を塗りつぶして拡散していってしまうのも・・・当然の理だから。

ホントにねえ。 最低限の事実関係くらい、きっちり自分の手で調べて学んでから(情報は)伝達しようよ。 自分の手で、だよ。 ただ漫然と「キーを叩くかスマホをタップして=ネットで調べて」と言うのでは、「事実関係を調べた」うちには入らないんだよ、平成世代の諸君っ

 
コメント
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