さて、本日7日は《北方領土の日》である。自称「ロシア・ウォッチャー」の小生としても、2連発でロシア★ネタの記事を投稿したい。
ひとつ目の記事は、実は「極東ロシア人の日本観は"二階建て構造"である」という論拠について書き連ねる。何が「二階建て」かと言うと、「政治的には反日、実利的には信日」な感情を併せ持ってる、ということだ。なお(本記事の意味においては)あえて「親日」でなく「信日」という漢字を充てたい。それはまだ、ロシア人が日本人に対し親近感を覚えている、という域には達せず、日本製品に対し信頼感を抱いている、というレベルにとどまるからだ。
ご存じの通りハバロフスク州、沿海州、サハリン州といったロシア極東地方において、たとえば日本製の中古車に対する信頼感の強さは度々話題にされてきた。この投稿では、さらに「(信頼が篤いのは) 中古車だけじゃないよ🎵」という点に踏み込む──。
シベリヤや極東のロシア人にとって、日本人の「潮干狩り」に勝るとも劣らぬ国民的レジャーと言えば、ずばり⚡真冬の「ワカサギ釣り」だ。
ロシアの(たとえば)アムール川などの肥沃な河川の恵みは、日本のそれとは桁違い。入れ食いぶりもハンパない。ワカサギと言え体長は日本産の2倍、体重は3~4倍にも及ぶ「ほとんど別種の魚」に育っているため、釣りエサは(日本と違い)冷凍の生オキアミが主流だ。
そしてそして……なぜかこの冷凍オキアミ製品に、日本製を騙る"上級品"が幾種類も出回ってるのだ。パッと見、ホントに日本から輸入した❔と見紛いかねないのだが、ひとたび印刷された「日本語」に目を走らせれば「ナンだ。中華メイドの"何ちゃって日本製品"じゃねーか」と容易に知れる。
ちなみに、商品名の『チカ専科』とは、ネーミングだけ某・国内の針・仕掛けメーカーのこれをパクったものらしい。企画販売してるのは(実際にハヤブサ製品も❔取り扱っている)ハバロフスク州コムソモリスク・ナ・アムーレの釣り具商社。
安く中国で造らせてんなら、自国ロシア語仕様の商品を頼めそうなもの。挿しエサ専用の冷凍オキアミ500gで300ルーブル(500円くらい)、という価格は(平均的ロシア人の7~10倍は所得額面の高い)日本人感覚で考えても、十分に「ぼったくり」レベル。ロシア人の金銭感覚だと(国内の釣り具店頭に並ぶ廉価品にくらべ)優に10倍以上の値段なのだが……ところが今どきのロシア都市部じゃ、能書きに「日本産 赤オキアミ」と謳っただけで飛びつく(比較的リッチな)市民層が相当数に上るようなんである。結果、利ざやを稼ぐなら「日本製品(って事)にしておいた方が儲かる」という理屈になってしまう。
つか、日本近海で獲れたってだけで(今も)フクシマの汚染が怖いとか台湾政府は言ってるのに、北極海より三陸沖(※実際には産地偽装が濃厚)のエビのが栄養価豊富で食いつきがイイ❕、とプラス評価するロシア人の神経ってww 何でも海や宇宙に棄てとけばキレイになる、っていうロシア流の「アバウトさ、無神経さ」だろうか。そりゃ節操なく原子炉を増やすワケだ。
そんな「日本信仰」も持ち合わせる極東ロシア人がクリル返還に牙を剥くのは、心情的には第一義的に「日本に嫌悪してる」んじゃなく、(流刑地として拓かれた時代から連綿と)首都の連中は極東を見下してないか❔という伝統的な対抗心。そこへ持ってきて、西のクリミアは併合したのに、東のクリルは棄てるのか!?という猜疑心。俺たちを外交の犠牲にする気なら「中央政府め、断固❕❕許すまじ」という想いの方が(真に)中核を占めている。沖縄県民が駐留軍を恨む以上に、本土日本政府を恨むようにだ。
そこで余談。件の二島返還に猛抗議している政治結社にはソ連復興を叫ぶ極左系のグループも多い。シベリア地方の二十歳前後の若手就労組には(西部大都市の生活者との間でジワジワ拡がる格差を妬んで)地場の共産党集会に足を運ぶ者も少なくないとか。日本では言われないことだが、ネットの隆盛で様変わりした社会環境の特質として、ロシアや中国では「これまで都市部と農村部の間で途絶していた生活実態情報が、SNSの急速な普及でダイレクトに共有されてしまい、地方住民の抱く不公平感をいっきに増長させた」という語られかたをする。
そんな若者のネトサヨ魂を擽(くすぐ)り、第2次大戦前の愛国心を呼び覚ませ!といった音楽PVを1本ご紹介しておこう。
=了=
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