関心空域 ━━ す⊃ぽんはむの日記

元「関心空間」の日記(引っ越し後バージョン)です♪

いよいよ世界の空を「覆い始めた」中国発、かわら屋根調の❕❔ "トタン板"。その周辺を追ってみた🏠

2021年02月03日 | 日記

建物の屋根材に鉄板を敷く、というチョイスは、昭和時代には「トタン屋根」の名で広範に採用されていた。

わたしの幼少期は大きな天災は無かったが、全国的に「仮設住宅」の建設量がピークに達した時期にあたる。学童の数が急速に増えすぎて恒久型の校舎の建設が間に合わず、至るところの自治体、公立の小中学校には「プレハブ校舎」が突貫工事で増築されてたのだ。1クラスの定員は60名にも迫っていて、鉄板の屋根に壁、板ぶき床の「仮設教室」には机が寿し詰めに並べられていた。

もちろん、そんな日本の過去は今の東南アジアやインド、アフリカでは「現在の光景」として拡がっている。少しでも安上がりな屋根材を求めれば、それは21世紀の今も「トタン板で屋根を葺(ふ)く」という結論に行き着くのだ。

…が。

現在の後進国で葺かれている「トタン屋根」は、われわれ昭和にっぽん人が見慣れていたモノとはずいぶん見た目が違う。パッと見、"かわら葺き"に見えるのだ。

インドのトタン屋根ブランドGEOROOF® のTVコマーシャル

これらの「かわら屋根調トタン板」を世界に向け仕掛けているのが、ご多分に漏れず中国の鉄鋼産業界である。

そもそも「かわら屋根調トタン板」を製板する工作機械自体が、中国メーカーのみで100%を独占する。


ここで念のため補則しておこう。

知ってる人は知ってる話だが、現在流通している「トタン板」は昭和の「トタン板=亜鉛めっきした鉄板」とは若干、メッキ素材が変更されている。なので業界的には(メッキする合金の名前を冠して)今のモノを「ガルバリウム鋼板」と呼び(トタンとは)区別することが多い。

かつて、無塗装のトタン板は表面が つや消し調で花びらを散らしたような独特の"紋様"を持っていた。一方、現在の主流ガルバリウム鋼板"そのもの"を一番身近で見かけるのは、工場や倉庫の通気ダクトとかだが まるでフライパン用ホイルのように、表面がギラついてる。こういうのも「ガンメタ調」と形容できるのかな❔ たぶん、あのキラっと照り返してる成分がアルミニウム由来なのだ。


まあ、メッキ素材こそ合金に変えて防食性を強化してきたワケだが、トタン板にせよガルバリウム鋼板にせよ、強度自体は鉄板の品質と厚みに依拠してることを忘れちゃならん。建材の耐久性とは常に、防食性と強度との掛け算だからだ。

昔と違いアルミ成分で補強されてるから「上質のトタン板です、長持ちしまっせ🎵」、と中国メーカーは胸を張るんだろう。しかし粗悪で薄っぺらな鋼鈑にガルバリウム鋼めっきを施したんじゃ結局は、本末転倒に。製造原価はいくらでも安く上がるから後進国の住建業者にだったら、ダマくらかして大量輸出できるぞ💧 てなノリなんだな。

以下↓ 一抹の「ペっコンペコンなペラもの感=チープ感」が拭(ぬぐ)えない、アジアやアフリカの後進国に輸出された中国製のトタン屋根💧 画像集。


 

 
ドライバーで(屋根板を土台に)ネジ打ちした部分の「ベコンと凹んだあたり」から、簡単に鋼材本体が内部腐蝕してく(=錆びてく)危うさを覚えるんだよなあ💧 下の白屋根はパッと見に上質そうだけど、よ~く見ると(やっぱり)画像右上の方には隙間や凹みが目立つ。


 

さて最後に、日本の住宅で この中国製「かわら屋根調」トタン板を葺けるか❔ について考えよう。

結論から言うと、輸入して施工してる住建業者は(日本にも)少数だが存在する。だが、後進国ばりに荒っぽく施工したんじゃ耐久性も美観も保証できない。トタン屋根の扱いになれた、ネジ打ちの丁寧な専門職が屋根を葺くことになる。

結果、安っぽい建材を宛がうにしちゃ(お高い施工費を請求され)コストはかなり高く付く。また、降雨時にはどうしたって天井から轟音が響くことになる。雨粒に鉄板でハードロック打ち鳴らされてるようなモノだ。アルミが加わったため熱伝導率は良くなり、ぶっちゃけ夏熱く、冬冷たい。

天井からの断熱や防音のためにグラスファイバーを二重に敷く…等の必要が。

貶してばかりいても不公平だろう。もちろん、トタン屋根にはトタン屋根なりの良さもある。筆頭はナンたって耐震性。瓦を葺くより何倍か軽量だから、家屋が(激しく揺らされても)潰れる危険が軽微だ。

次に、建築デザインの自由度が格段に❕ 拡がる点。色は何色にでも塗れるし、素材のカットが自在なので出窓や"切り込み"を屋根に加えても 容易に対応できる。これほどの加工しやすさを有する屋根材は、他に無い。


まあ以上、日本人的に観ると「そういう特殊な」屋根材ではある。が、世界を見晴らすと現実には(後進国諸国を中心に)みるみるうちに家々の屋根を覆いつつあるのが、紛れも無き『かわら屋根調トタン板』…という現実。

日本に暮らしてても絶対に見えてこない。しかしイザ海外に出れば、中国が(あいかわらず)その安さを武器に、世界じゅうの「屋根事情」を猛然と塗り替え始めてしまっているのである。
=了=


この話題の関連記事:
- 【当世住宅事情】21世紀の「かやぶき、わらぶき屋根」─── 仕掛けてるのは、やっぱり中国製造業。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。