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中国米国をWTO提訴へ ─── WTO提訴、提訴数の多い国(貿易損の過敏国)は❔ ランキングはどんな感じ❔

2019年09月03日 | 日記


きのう《中国、米国をWTO提訴へ》というニュースが報じられた。ニュースサイトには「アメリカがWTO脱退するだけww」といった横柄なコメントで溢れかえった。

だが待て。ここで一拍おいて「自分のアタマで考える」のがネット馬鹿に陥らぬ心得である。

── アメリカはWTOを脱退するような国か❔ アメリカにとってWTOは「役立たずのお荷物」なのか❔ アメリカはWTOを「十分に利用できてない」のか❔ さあ考えてみよう

ひとことで「WTOに提訴」と言っても、実は「紛争が深刻化してゆく度合い」によって何段階かの(そう呼ばれ得る)タイミングが在る。

WTO おおまかな紛争解決の流れ

 (1)(当事国いずれか、または双方からの)協議の申し立て
 (2)(協議難航のため、仲裁のための)委員会の設置要請
 (3)(委員会の意見書を受けて)上訴
             ・
             ・
             ・
 (4)(報告書の採択を受けて)勧告


文字通り「裁定を下し、問題に白黒つけてくれ❕」という意味の『提訴』なら、上記(3)の段階になろうが、広い意味では(1)や(2)も"提訴"行為だ。

以降に掲げる二つの資料〔2018年〕は、上記のうち(1)段階から「提訴」とみなした訴え件数である。 たぶん、「あれ? 日本って1年間にこんなにも"提訴"してたっけ?」と訝る向きもあるかと思うので、一応ことわっておく。

まずは冒頭に示した米中貿易紛争に鑑み、中国と米国にとってのWTOという機関について「どんな差があるのか(または、ないのか)」見てみよう。出典データは、インドForbesが調べた2018年における年間のWTO提訴数集計である。



オドロくなかれ。中国ほどの貿易超大国が、昨年WTOに対して行った提訴件数はたったの17件しかない。うち15件が、米国とEUに提訴されたことによる逆提訴であるから、中国は基本「貿易で他国を訴えない」国なのだ。それだけ中国は、何もせず黙ってても「中国以外の国から見て圧倒的な貿易優位国(=脅威国)」であることの裏返し、だとも言える。

対して、アメリカは世界じゅうを相手に「難クセつけちゃ訴えまくり」、その総件数は百数十件に及ぶ。中国を目の敵にしてる一方で、実に、EUにはその1.5倍、カナダへも中国に迫る件数を訴え出てたんである。それも、かの金正恩ばりに(直接の)2国間協議にこだわるトランプ政権下において「ですら」だ。

いかがだろう。

何のこたァない。米国はWTOの「ヘビーユーザー」のひとりなのだった。WTOの「ご利用ランク」では第2位。ちなみに、1位がEUで3位がカナダだ。やはりと言うか、輸出先国に保護主義策を持ち込まれやすい「農畜産物大国」の利用率が高くなる。中国は今じゃ「世界の胃袋」でもあるんで、その意味でもWTOには「ほとんど用が無い」国、というワケだ。

ちなみに出典元インドForbesには、当事国となった紛争件数のうち(決着に一定の強制力を期待できる)加盟国が相手の紛争件数の比率を「実利目当てWTOご利用率」とみなした場合のマップも載せられていた。赤いほどヘビーに利用してることを示し、EUの利用度はダントツ❕であることも読み取れる。


まあEUに関しちゃ、ヨーロッパ各国の農畜産従事者を「EU加入派」として囲い込むために、率先して加盟国の農畜産物を「有利に圏外に売りさばき、担い手の生活を護る」という至上ミッションもある。ムキになって提訴ネタを嗅ぎまわる専属官僚も、さぞかし大勢いらっしゃるのだろう。

以上、とかく米中摩擦ばかりが報道されるなか、「じゃあ、WTOが加盟国に使われてる中身は❔」という素朴な疑問にスポットを当ててみた。あなたはそれでも、アメリカがWTOを抜けるだなんて想像できるだろうか。

最後に…まったくの余談になるが、わたしはWTOのことを中学でも高校でも全く習わなかった。だって、そんな機関はこの世に存在してなかったから。当時はまだ「GATT(ガット)」と呼ばれてた。

テスト問題で(この略語を)日本語にしろ、とか定番中の定番で、正解は「関税と貿易に関する一般協定」なんだが、「協定」なのに何で機関の名称なんだ❔❔と常々イラついてた受験生時代が懐かしいぜww  それじゃまた。
=了=

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