「ひょっとしたら僕らは本当にひとりかもしれない、だれといて
も共にいてもひとりのままかもしれない、けれど記憶のなかでは
僕らはひとりではない」
作家角田光代さんの小説のワンフレーズである、ひとりだけれど
記憶のなかではひとりではない、なぜか心に響く言葉である。
時々過去を思い出すことがある、薄らいでいく記憶もあるが、年
月が経っても鮮明に覚えてるものがある、無邪気だったころ、生
きづらさを抱えながらも懸命に生きてた頃、不思議とそのシーン
は誰かと一緒である、ひとりでいることはない。
そう考えると記憶は過去のものではない、自分のなかにとどまって
るのが記憶、過去は現在の中で生きているといえる、人間はひとり
だけれど記憶のなかではひとりではない、そう思える今日この頃
である。