武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

いたずら者(作品紹介718)と 冬の意気込み

2023-01-25 19:23:12 | Weblog

エネルギー全開という感じです。

この絵は、最近出来上がったもので、アトリエに通された針金にクリップで吊るされていました。

B5サイズの小さめの絵になります。

扇風機が回っているかのような動きをしていて、風を送り込んでくるかの如く。

だけど、風じゃない。

仁王立ちしていて、原始的なエネルギーを放っているようだ。

ひょうたん型の顔は、最近よく描く形で、この絵意外にもよく描いている。

たぶん単純に顔ではないのだろうけど、顔に見えるわたしにはインパクトが大きい。

「これ、いいでしょ。」とアトリエで言われる。

いいも悪いもを超えてしまっていて、答えに躊躇した。

喜び過ぎている犬がしっぽを千切れんばかりに振っているような気もするし、

ピピ(猫)が、布団の上で暴れてはしゃぎすぎているような感じでもあるし、

(羽根布団の上で、暴れるの好きな猫なのです。)

武内が大ふざけしている時のような・・・。

「独特なエネルギーを感じる。」とだけ言った。

そう言うと、「こっちの絵はどう?」と聞く。

「それ、可愛い。」と言うと、

「可愛いって・・・、そんなのじゃなくて。」と言われ、

「えっ、可愛いじゃいけないの?可愛いじゃん。」と言うと、アトリエから開放してくれました。

その後、布団のシーツを洗おうと思いシーツを剥がすと、

シーツの中で羽根が出ていて、部屋中に羽根が舞い上がった。

布団の布が破れていて、それもあちこちに破れが出来ているのだ。

布団を繕いながら、この絵をもう一度見ました。

ピーちゃんも武内も似たような者か?

きっと、この人物は、命ある生き物で、いたずら者なんだと思います。

やはりこの絵は、武内にしか描けないのではないだろうか。

 

 

寒波が押し寄せ、雪の降らない関西でも雪が積もった。

植木鉢に積もった雪は、丸い円をを描き、地面は白かった。

雪がちらつく中、「煙草とコーラを買ってきて。」と言われ、買ってきたところです。

雪が降る前、TVで予報を見て、「なんとか乗り越えないといかん!」と急に大声を出し、

興奮気味なヒロクニさんでした。

そして、雪が降り始めると“冬眠”に。

熊の生活に近い。

(それより、簡単に寝れるのに感心します。)

絵の方は、1つの山を越えたらしく、ちょっと休息を入れると言われていましたので、

ちょうど良い感じで、冬眠状態であろう。

 

ヒロクニさんが冬の思い出を話す時があります。

京都で開催していた小牧源太郎氏の個展へ、一人で見に行った話。

もう1つは、冬の寒い日、エリック・ロメールの映画を一人で見に行った話。

若い時、多分40代後半のことだと思われる。

この頃、悶々とした日々を送っていたらしく、制作で家にこもっていたという。

憂さを晴らすために、夜は街のバーで騒いでみたりするが、一向に埒が明かない。

そこで自分に問いかけたそう。

「お前、この前見つけた“小牧源太郎”の個展でも行ってみないか。」と。

そして、京都にある宮脇ギャラリーに行く。

すると、本人が会場に居られたらしく、

「小牧さん、本人が居るとは思わなくてねぇ。何か念仏を唱えられていたよ。

 小牧さんは、仏教に関心があった人だから。」と話す。

わたしは、小牧源太郎という名前を始めて聞き、知識不足で、

絵を思い浮かべることが出来なかったので、その重要性を理解できなかったのですが、

小牧氏の1906年~89年という年代から、かなり高齢だったのだということを知り、

前期シュールレアリズムからのシュールレアリストの画家であることを知って、

武内にとっては、大きなことだったのだと分りました。

以下絵を紹介

独立行政法人国立美術館・所蔵作品検索  小牧源太郎 生きとし生けるもの | 市立伊丹ミュージアム | 美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ  ヤフオク! -小牧源太郎の中古品・新品・未使用品一覧

左から、

アムレットNO.3 油彩

エスピリト・サントNO.3 油彩

民族系譜学 版画

この小牧源太郎の絵を見たら、納得します。

やはり、自分の絵を描こうと思ったのだと思う。

 

エリック・ロメールの映画は、「やたら、女が泣くんだよねぇ。」と言い出したかと思うと、

この冬の日も、「お前、一人で行ってみろよ。と、思ってねぇ。」と言う。

続けて言うには、

「冬の晴れた日でねぇ。行ったことがない吹田って言うところへ行ってねぇ。」

「ロメールを見ようじゃないかと。」

「なんか、そう思うことがキラキラしていて。」と。

この言い方が乙女チックでした。

わたしは、ロメールの映画には確かにキラキラしたところがあると思い、

「映画の中で、光りを感じるものね。」と相槌を打った。

こういう映画を冬に独りで見に行くというヒロクニさんから、淋しさを感じました。

やたら泣く女がということから、「緑の光線」というタイトルの映画でしょう。

バカンスに行くのに、誘われない少女がとても悲しくなる映画があるのです。

フランスでバカンスに行けないというのは、大事だそうで、

始めのほうでは、悲しんでいるのが分らなくて、よくこんなことで泣くなぁ~と思っていました。

後から、だんだん事情が分ってくるのですがね。

ロメールの映画は、深刻ではないのですが、

ちょっとした気持ち、嬉しさや悲しさの幅の揺れ動きが、

葉の隙間からの光線や、空とともに、人の表情が映るのです。

女の子の洋服、小物もフランスらしくて、それもまたいいのです。

上澄みの気持ちの揺れ、エッセンスの宝庫という感じ。

頑張って見に行ったというヒロクニさん。

この頃は、冬眠はしていなかったようです。

 

ヒロクニさんは、自問自答の時は、

「お前、○○してみろ!」と言うことが多いみたいです。

そういえば、茶碗洗いの手伝いも、「お前、茶碗洗いぐらいしてもいいだろう。」って言ってました。

決意固く、それから33年経ってきています。

 

今日は寒い一日になりました。

我家の庭にも、雪が積もりました。

↑あまり積もらない地域なのですが、こんなに。

 

無事に皆様過ごされますように。

今日もお読み下さった方、ありがとうございます。

春が、今から待ちどうしくなります。

 

 

コメント (2)
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