遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉 106 残された時間の中で

2016-09-25 15:51:17 | 日記

          残された時間の中で(2011.5.13日作)

 

   今日もわたしの

   眼の中を 耳の中を 頭の中を 心の中を

   悪の華を満載した汚濁まみれの列車が

   ガタビシ音を立てて無遠慮に走り抜けて行く

   わたしは眼をそらし 耳をふさぎ

   心を閉ざして 頭の中を空にし  

   怒りと嘆きと哀しみだけを撒き散らす

   そんな列車の積み荷の中身の

   なにも見まい なにも聞くまいとする

   もう わたしに残された時間は少ない

   残された時間より はるかに長い時間を歩いて来て

   ただ 悔恨の念だけが深く胸を穿つ今のわたしに

   残された時間の中で出来る事など

   高が知れたもの

   今は静かに自分の庭にたたずみ

   絶望に乾き切った心に水を与えて

   自分だけでも納得出来る花を咲かせ

   残り少ない時間を飾るとしよう

   なにも恨まず なにも妬まず

   汚濁まみれの列車の線路から遠く離れて

   せめて わたしの身の周りにいる人々だけにでも

   高原を吹き抜けてゆく爽やかな風のように

   一陣の涼風を送り届けて

   歩み去る事が出来れば 

   それでいい

   

   

   

   



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