今日のドラマのワンシーン（電車編）
なんで？ あの静かな車内で、という方が一般的だ。
個々がそれぞれ息を潜め密かに蠢く生物体
のごとく、何を考えているのかわからない。この男性は昨日の夢の続きを懸命に思い出そうとして断片的にしか出てこないことにイライラしてしいる。
このアニキン似のオヤジは、エロい夢を見ながら爆睡中。
今来たメールを眺めながら薄笑いを浮かべる女性。
小さな携帯用のゲーム機の画面を食い入るように見つめ、指を動かし真剣になっている高校生くらいの男性。殺人症候群なるソフトでも操っていると怖い。
外に出ると、空気はまだひやっとするほどの冬の寒さを残こしている。
地下道のWe Roadを抜けるとタイルの路面が強い陽差しに照り返され、目に眩しい。
まだ春に入ったばかりだというのに、夏の太陽
を思わせる強さだ。ときにこの強さは生命力と躍動感を私に与えてくれる。
こうして冬、春、夏、三つの季節に戸惑い、会社までの道のりを歩く。
