阿仁金の配偶者が出た時の音程と音色、そしてツヤとコクで大体のことがわかる。
昨日の夜、電話した。
今日、見舞いに行くつもりであった。
その為に一応様子を訊いてから、と思ってのことだった。
「もしもし……」
配偶者が電話口に出たらしい。いかにもこちらを訝ってるような低音で暗い。
まずいな、この口調は。――まさか?
「グーですけど」
「なーんだ、グー。こんばんは、どうしたの?」
「ん? どうしたの? じゃないでしょう。何で電話したか、くらい判るでしょう」
「はははは……」
「浮気でも、どうだい? なんて言うと思った? キミ~~!!!」
こんなやりとりができたので安心した。上手くいったって。
今日、配偶者が行ったら、痛くて痛くて、一晩泊まってってくれよ、と甘えてたらしい。馬鹿言ってんじゃないよ、と一蹴したらしい。流石、阿仁金の配偶者らしい。
よかった。
ほんとによかった、と思う。バンザーイ!!!! 阿仁金のボケがまた聞ける。そして僕がツッコむ。
で、明日はまだ面会は難しそうということで断念しました。
加齢臭が除去されたそうだ。
さー、昨日は会社だったから、今日は思い切ってテニスに行ってきま~~す。