話をまとめてみると、待合室には約八割がたの老人たちが楽しそうに賑わっていたという。
「早く辞めろ、辞めろと言われてた福田さん、やっと辞めたよ。よかったな。ところで、何でこんな急に辞めたの? 理由がわからない、……ったく、困った人やね」
と何か、わけのわからんことを言っている。
「ところで山田さんと佐々木さん、今日は見えてないねー?」
辺りをキョロキョロ見回して、
「そうやね、どうしたんやろ?」
みんなが口々に話し始める。そこに、60過ぎの山田の婆さんがやってくる。
「山田さん、遅いじゃないか? 朝一の仕事は終わったんか?」
「まいったんだ今日は。介護先の爺さんがダダこねて、あやすのに大変だったんだ」
「そうか、ごくろうさん、あのアニキンさんかえ?」
山田の婆さん、口をへの字に曲げて二度うなずく。
「そうなんか? あんた、仕事じゃけんな。ところで、佐々木さん知らんかえ?」
「あー、今日はちょっと具合悪いから来んと、言ってたど」
「あれま!! そっか、体調悪くちゃーしゃねーな」
調子悪いんだったら、ここに来ればいいのに、とその友人は思ったそうだ。
たしかに、と僕は頷く。