気がついたのは、東急ハンズでヤボ用を足し、さぁ、会社に戻ろうとしたときだ。
ポケットの後ろポケットに手をやる。そしてハンカチを取り出し、手を拭く。
ここまでは、通常目にする行動だ。
ハンカチを畳み、ポケットに仕舞う。………………あん……？
いつも小銭入れを入れる後ろ右ポケット、に……zxvw????それが、、、ない。
瞬間、ミニパニック!!!! 頭から電気が四方八方に飛び散る。 オロオロ。。。。
スーツの上から、胸、お尻を何度もパタパタと触り、終いには内ポケットに手を入れる。慌てる様子がなければ、なんとも滑稽な姿だ。
免許証、カードが一枚、現金は３万くらいと小銭。あとは？ 頭が真っ白!!!!
免許証とカードが一番危ない。事件性が強い、ヤバイ!!!
あ、トイレ。すぐにトイレに戻る。、、、、ない。その前？ 図書館だ。その前？ シアトルベストコーヒーだ。イスに座った時、後ろポケットからポロリ!!! なんて？
あ～～、ありえる。すぐ戻ろう。戻るよりはまず電話だろと、ズボンの左横ポケット（携帯の定宿）から携帯を取り出し、図書館とシアトルに電話する。五分。探してくれてるのだろう。カード会社に電話？ 警察に電話？ あー、思うと憂鬱。なに気に右ポケットに手を入れる。
右手に掴んだのは？ あん？ この形は、、、、小銭入れ？
緊張の取れた瞬間はいい顔だ。アニキンは崩れ落ちた顔をさらに崩し、胸をそらし、大きく息を吐いた。
彼の前にいた僕は一瞬気絶しそうになった!!!
「ごめん、そこにいたの？ 少し臭う？」と歯の抜けた顔でニタリとする。
「少しじゃないよ。……ったく、ま、大丈夫、昔から慣れてる」
と、僕は両目尻の端を指で押さえ頭を振りながら目を閉じた。
