田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

憧れの年上女性ナタリー・ドロン

2021-01-22 13:36:56 | 映画いろいろ

 思春期の頃、映画の中で憧れの年上女性の一人だったナタリー・ドロンが亡くなった。

 

 代表作は、ルノー・ベルレーを相手役に年上の女を演じた『個人教授』(68)だが、妹役のスーザン・ストラスバーグと同性愛関係にある『姉妹』(69)でのヌードシーンの方にドキドキさせられた。ナタリーは、とにかく顔がセクシーで、危ない雰囲気を漂わせていた。

 デビュー作『サムライ』(67)で共演した元夫のアラン・ドロン共々、日本では特別に人気があった。ちょっと調べてみたら、映画雑誌『スクリーン』の「読者が選んだ人気スター・ベスト20」には、1970年の20位から顔を出し、出演映画の公開はほとんどないのに、75年には4位にまで上り詰めた。また、『ロードショー』の付録の「スター名鑑1975年版」では、アランと共に表紙を飾っている。

 これは、テレビ放映された『個人教授』や『姉妹』、『八点鐘が鳴るとき』(71)、あるいは映画雑誌のグラビア(時にはヌードも)のイメージの蓄積故だろうか。動画過多の今の時代からは考えられないことだが…。

 初めてナタリーと映画館で対面したのは『新・個人教授』(73)だった。予想通り、どうということもない映画だったが、ナタリーのセクシーな年上女ぶりと、ヌードが拝めただけで満足した。そして、『危険な関係』(76)は、『エマニエル夫人』(74)のシルビア・クリステルではなく、ナタリー目当てで見た覚えがある。

 『青い体験』(73)のラウラ・アントネッリも先年亡くなった。『課外授業』(75)のキャロル・ベイカーは健在か…。年を取ると、こういう寂しい出来事がどんどん増えてくる。

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『あの頃。』

2021-01-22 07:37:18 | 新作映画を見てみた

おもろうてやがてちょっと切なくなる

 原作は劔樹人のコミックエッセー。大阪を舞台に、「ハロー!プロジェクト」(ハロプロ)に夢中になる、アイドル・オタクたち(松坂桃李、仲野太賀、山中崇、若葉竜也、芹澤興人、コカドケンタロー)の青春を描いた群像劇。

 基本的には、しょうもない奴らのばかばかしい日常や姿を描いたコメディなのだが、見ながら、無性に切なくなったり、彼らがいとおしく感じられたりもする。それは、今泉力哉監督と脚本の冨永昌敬の、彼らを描くまなざしがとても優しいからだ。おもろうてやがてちょっと切なくなる展開に、笑いながらついほろりとさせられた。

 『アイネクライネナハトムジーク』(19)もそうだったが、今泉監督は、登場人物の一人一人がきちんと浮き立つような演出をする。つまり群像劇に冴えを見せるのだ。

 今回は主人公がミュージシャン志望であり、アイドルにまつわる音楽も重要な役割を果たす。そういえば今泉監督のデビュー作は『たまの映画』という音楽ドキュメンタリーだった。

 その『たまの映画』が、和歌山県の「田辺映画祭2010」に出品された際に審査員を務め、審査の席でこれを推した覚えがある。あれから約10年がたち、今は随分立派な監督になったと思うと感慨深いものがある。

2010「第4回田辺・弁慶映画祭」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f65fde8b607b8a85229362cc977171fd

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