思春期の頃、映画の中で憧れの年上女性の一人だったナタリー・ドロンが亡くなった。
代表作は、ルノー・ベルレーを相手役に年上の女を演じた『個人教授』(68)だが、妹役のスーザン・ストラスバーグと同性愛関係にある『姉妹』(69)でのヌードシーンの方にドキドキさせられた。ナタリーは、とにかく顔がセクシーで、危ない雰囲気を漂わせていた。
デビュー作『サムライ』(67)で共演した元夫のアラン・ドロン共々、日本では特別に人気があった。ちょっと調べてみたら、映画雑誌『スクリーン』の「読者が選んだ人気スター・ベスト20」には、1970年の20位から顔を出し、出演映画の公開はほとんどないのに、75年には4位にまで上り詰めた。また、『ロードショー』の付録の「スター名鑑1975年版」では、アランと共に表紙を飾っている。
これは、テレビ放映された『個人教授』や『姉妹』、『八点鐘が鳴るとき』(71)、あるいは映画雑誌のグラビア(時にはヌードも)のイメージの蓄積故だろうか。動画過多の今の時代からは考えられないことだが…。
初めてナタリーと映画館で対面したのは『新・個人教授』(73)だった。予想通り、どうということもない映画だったが、ナタリーのセクシーな年上女ぶりと、ヌードが拝めただけで満足した。そして、『危険な関係』(76)は、『エマニエル夫人』(74)のシルビア・クリステルではなく、ナタリー目当てで見た覚えがある。
『青い体験』(73)のラウラ・アントネッリも先年亡くなった。『課外授業』(75)のキャロル・ベイカーは健在か…。年を取ると、こういう寂しい出来事がどんどん増えてくる。