『ジーサンズ はじめての強盗』が陽なら、こちらは陰
かつて「泥棒王(タイトルの「キング・オブ・シーヴズ」)」と呼ばれたブライアン(マイケル・ケイン)。⼀度は裏社会から引退し、愛する妻と平穏な日々を過ごしていたが、妻の死後、知人の若者バジル(チャーリー・コックス)から、ロンドン随⼀の宝飾店「ハットンガーデン」の貸金庫窃盗計画を持ちかけられる。
2015年に実際にあった高齢窃盗集団による事件を描く。監督は『博士と彼女のセオリー』(14)のジェームズ・マーシュ。新作ではなく、2018年の映画。
ケインのほかのメンバーは、ジム・ブロードベント、トム・コートネイ、レイ・ウィンストン、ポール・ホワイトハウス、マイケル・ガンボン。各々の若き日の姿がちらっと映る。
前半は「いい金庫を見ると元気が出る」とか、防犯カメラの多さに「プライバシーはないのか」といったセリフが飛び交い、ユーモアを交えながら、なかなか快調に進むのだが、後半は仲間割れを描いて失速する。
痛快な犯罪物を期待したが、むしろ、シリアスで苦いものになっていた。同じくケインが主演した同種の『ジーサンズ はじめての強盗』(17)が陽なら、こちらは陰という感じがした。まあ、実話の映画化だから、仕方なかったところもあるのだろうが…。
昔の犯罪映画を思わせるジャズ風の音楽が聴きもの。また「ハッピー・トゥゲザー」(タートルズ)や「パーティーズ・オーバー」(シャーリー・バッシー)が反意的に使われている。
【ほぼ週刊映画コラム】『ジーサンズ はじめての強盗』
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