ハリウッド映画との違い
アンデルセンの「人魚姫」の基にもなったと言われる、水の精ウンディーネ(オンディーヌ)伝説を現代に置き換えて、クリスティアン・ベッツォルト監督が映画化。
ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネ(パウラ・ベーア)は、博物館でガイドとして働いている。ある日、恋人に裏切られた彼女の前に、潜水作業員のクリストフ(フランツ・ロゴフスキ)が現れる。
ウンディーネの目線、列車の窓に流れる風景、列車を追い掛けるクリストフ、博物館にあるベルリンの模型、潜水作業員のフィギュア、水中の大ナマズとウンディーネの文字、白壁に散ったワインの跡、ビージーズの「ステイン・アライブ」で心臓マッサージ、といったイメージのコラージュを、バッハの「アダージョ」に乗せて、幻想的でミステリアスな話として描く。
先に見た『ベルリン・アレクサンダープラッツ』同様、夜のベルリンの風景が特に印象的だったが、ウンディーネがガイドとして語るベルリンの歴史も興味深く聴いた。
こういう題材をハリウッドが撮れば『スプラッシュ』(84)や『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)になるが、ヨーロッパ(ドイツ)が撮ればこうなるのか、という違いが感じられて面白かった。