田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『椿の庭』

2021-03-24 17:09:57 | 新作映画を見てみた

映像は美しいが…。究極の私映画

 庭に椿が咲き誇る高台の一軒家。夫を亡くした絹子(富司純子)は、家族の思い出が詰まったその家で、娘の忘れ形見である孫娘の渚(シム・ウンギョン)と共に暮らしていた。

 庭に咲く色とりどりの草花から季節の変化を感じ、家を訪れる人々と語らい、過去に思いをはせながら暮らす絹子と渚。そんなある日、絹子に一本の電話がかかってくる。

 写真家・上田義彦が監督・脚本・撮影した究極の私映画で、主役は古い日本家屋と母・次女(鈴木京香)・孫の3代の女性たち。それを取り巻く庭、草花、生物、海などを映しながら季節のうつろいを描く。映像の美しさを見ると、さすがは名うてのカメラマンだと感じさせる。

 また、富司が着る着物にこだわり、着付けの様子を詳細に見せ、帯締めや衣ずれの音を執拗に聴かせる。そこから、富司の立ち居振る舞い、たたずまい、所作の美しさが浮かび上がる。市川崑が「金田一耕助」シリーズ『細雪』(83)などで、よくこの手を使っていた。

 家自体もそうだが、プッシュホン電話やレコードといったアンティークが目を引く。特に古いステレオから流れるビバルディや、ブラザース・フォアの「トライ・トゥ・リメンバー」が印象に残る。 

 古い日本家屋を舞台にした家族の映画としては『海街diary』(15)、イメージを集積(コラージュ)させた映像詩的なものとしては『モルエラニの霧の中』(20)を思い出した。

 ただ、こうした甚だ日本的な話の中に、なぜわざわざ韓国人のウンギョンと、台湾人のチャン・チェンをキャスティングしたのか。その意図がよく分からない。特に必然性を感じなかったので、かえって違和感を抱かされた。

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「BSシネマ」『ライムライト』

2021-03-24 07:27:15 | ブラウン管の映画館

『ライムライト』(52)



「これがチャップリンの終点だね」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a610152df308678642e342c5e6db929f

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「午後のロードショー」『エクスペンダブルズ2』

2021-03-24 07:22:48 | ブラウン管の映画館

『エクスペンダブルズ2』(12)(2012.9.4.丸の内ピカデリー)
とうが立った“夢の共演”ではあるが…

  

 このシリーズの場合、もう少し若い頃に共演してほしかったと思うのはぜいたくか。まあ、いささかとうが立った“夢の共演”ではあるが、同時代にライバルとしてしのぎを削ったスタローンとシュワルツェネッガーとブルース・ウィリスが同一画面で銃をぶっ放すなんてことは、彼らの全盛期にはあり得ないことだった。

 おまけに敵役はジャン・クロード・ヴァンダムだし、助っ人としてチャック・ノリス(なぜか『続夕陽のガンマン』のテーマ曲と共に登場する)まで出てくる。

 そんな様を見せられると、みんないろいろやったけど、やっぱりこういう映画しかないんだなと思い、切ないやら、何やらで、胸に込み上げてくるものがあった。

 とはいえ、ド派手なアクションのバックに流れる懐メロポップスというミスマッチは面白いし、アクションや人物描写に西部劇のタッチを感じさせるところもある。

 今回はジェット・リーが早々と退場したのが残念。ヴァンダム対リーの一騎討ちなんていうのも見たかったなあと欲が湧いてきた。“唯一の今の人”であるジェイソン・ステイサムが、『1』に続いて大ベテランたちを立てながらも、ちゃんと個性を発揮していたのが印象に残った。

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