田中雄二の「映画の王様」

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「BSシネマ」『踊る大紐育』

2021-03-19 11:38:58 | ブラウン管の映画館

『踊る大紐育』(49)

 ブロードウェーミュージカルの映画化。24時間の休暇でニューヨークへやってきた3人の水兵(ジーン・ケリー、フランク・シナトラ、ジュールス・マンシン)の恋と大騒動を描く。

 冒頭とラストの「ニューヨーク、ニューヨーク」(後にシナトラが歌った曲とは別物)をはじめ、「ミス・ターンスティルズ」、「メイン・ストリート」、「プレヒストリック・マン」などの名曲も多く、アカデミー賞でミュージカル映画音楽賞を受賞した。

 ケリーがスタンリー・ドーネンと共に監督、振り付けも担当し、ダイナミックで躍動的なパフォーマンスを披露。画期的なロケーション撮影とレナード・バーンスタインの音楽は、形を変えて、後の『ウエスト・サイド物語』(61)に引き継がれている。

 さて、この映画の前に『錨を上げて』(45)の存在がある。

 どちらも、休暇をもらった水兵の話だが、『錨を上げて』はケリーとシナトラの二人組で、舞台はハリウッド。休暇の期間は4日間ということもあり、いろいろと盛り込み過ぎて結局140分になるなど、テンポが悪い。

 一方、『踊る大紐育』は、ケリー、シナトラ、マンシンという三人組で、舞台はニューヨーク。休暇を1日に限ったことで(時間経過まで表示する)テンポよく話が進み、98分で収まった。しかも相手役にベラ・エレンとアン・ミラーを得ている。

 この違いは、前者の製作ジョー・パスターナク、監督ジョージ・シドニーと、後者のアーサー・フリード、ドーネン&ケリーの力量の差によるものか。日本では『踊る大紐育』が51年に公開され、その2年後に『錨を上げて』が公開されたというから、当惑した人もいたのでは、と思われる。

 自分は、どちらも、最初は『ザッツ・エンターテインメント』(74)内の名場面集の一つとして見たのだが、改めて『錨を上げて』の本編を見た時(1985.10.25.銀座文化.併映は『バンド・ワゴン』)に、ひどく退屈させられたことを覚えている。

 

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『アメリカン・アウトロー』

2021-03-19 09:35:18 | 映画いろいろ

 『地獄への道』(39)からおよそ60年後に、同じくジェームズ兄弟を主人公にしたこんな映画もあった。

『アメリカン・アウトロー』(01)(2009.1.5.)

英雄伝説

 久しぶりに民放の深夜テレビを録画して見た。アメリカ南部の伝説のアウトロー、ジェシー・ジェームズ(コリン・ファレル)とその仲間たち、いわゆるジェームズ・ギャング団の動静が描かれる。監督はレス・メイフィールド。

 この種の映画は、古くはヘンリー・フォンダとタイロン・パワーがジェームズ兄弟を演じたヘンリー・キング監督の『地獄への道』(39)とその続編でフリッツ・ラング監督の『地獄への逆襲』(40)、ニューシネマ時代のフィリップ・カウフマン監督の『ミネソタ大強盗団』(72)、キーチやキャラダイン兄弟が演じた、ウォルター・ヒル監督の『ロング・ライダーズ』(80)、最近ではブラッド・ピット主演の『ジェシー・ジェームズの暗殺』(07)などなど枚挙にいとまがない。

 彼らは、作られた時代背景や描き方によって、義賊になったり極悪人になったりと忙しいが、所詮、伝説と史実は異なるものであり、そこが面白かったりもする。

 この映画では、鉄道会社との確執を中心に、彼らを時代や権力に反抗するヒーローのごとく描いている。なので西部劇というよりも、派手な爆破シーンなどが目立つ、いかにも今風な明るい青春映画という印象を抱かされた。

 鉄道会社に雇われながら、心情的には彼らに味方する、ティモシー・ダルトン演じるピンカートンのキャラクターがなかなか面白かった。

【今の一言】成田凌はコリン・ファレルに似ている。

【インタビュー】『ダンボ』コリン・ファレル
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/eacf18ad59c22c359833c411480639ff

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