田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

アクション映画洋画篇ベストテン4「ブルース・リーの映画」

2021-03-09 10:38:54 | 俺の映画友だち

 

 わが映画日記を見ると、『ドラゴン危機一発』(71)の初見は、1974年11月4日、渋谷スカラ座で、併映は『レッド・サン』(71)と記している。

 当時は中学2年生。前年の『燃えよドラゴン』(73)(1974.2.26.渋谷東急、先に見た『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)(1974.8.23.渋谷宝塚の興奮覚めやらぬ中、友人たちと連れ立って、気合い十分で見に行ったのだ。『スクリーン』や『ロードショー』で知った「唐山大兄=THE BIG BOSS」という原題にも興味をそそられるものがあった。

 ところが見てみると、これが珍品とも呼ぶべきチープな映画で、期待が大きかっただけに、ひどくがっかりした覚えがある。その分、併映の『レッド・サン』が傑作に思えたものだ。今、改めて見直してみても、『燃えよドラゴン』の大ヒットとブルース・リーの急死がなかったら、この映画、果たして日本で公開されただろうかという気がした。

 『最後のブルース・リー ドラゴンへの道』(73)の初見は、1975年1月22日、読売ホール。生まれて初めて試写会で見た映画だった。コロシアムでのチャック・ノリスとの対決には目を見張ったが、そこに行くまでが随分と長くて退屈した覚えがある。結局、ブルース・リーの映画で満足させてくれたのは、最初の『燃えよドラゴン』だけだったのだ。

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アクション映画洋画篇ベストテン3『ブリット』

2021-03-09 10:36:47 | 俺の映画友だち

『ブリット』(68)(2010.6.6.午前十時の映画祭:TOHOシネマズ六本木 初見は1977.4.10.日曜洋画劇場)

 一言で言えば、スティーブ・マックィーンのクールな魅力をいかに見せるかに腐心した映画。

 英国出身でこれがハリウッドデビューとなったピーター・イエーツは、スタイリッシュなカメラワークや映像を駆使して頑張ったが、いかんせんテンポが悪く、推理物の要素もあるのに、説明不足の感があり、途中で話が見えなくなる。

 なので、見どころは坂の街サンフランシスコを舞台にしたカーアクションになるのだが、実はカット割りがあまりうまくいっていないのでダレるところがある。

 また、かっこいいテーマ曲も含めて、ラロ・シフリンのジャズ風の音楽は渋くていいのだが、これも少々使い過ぎ。もっとも、この映画はマックィーン自身のプロダクションが製作したため、彼の意向が強く出たせいもあるらしい。

 とは言え、マックィーンの身のこなしの良さはやはり天性のものだろう。とにかく彼は足が速い。階段を駆け降りるだけでもかっこいい。ファッションも、ただのハイネックのセーターなのに、普通のコートなのに、なぜあんなにかっこ良く見えるのか。最近はやたらとカリスマという言葉が使われるが、誰もまねすることができない、彼のような男こそが、本当にカリスマと呼ばれるべき人なのだ。

 また、この映画はフィリップ・ダントニが製作したのだが、同じく彼が製作した『フレンチ・コネクション』(71)と見比べてみるのも面白い。どちらも刑事ものだが、片やひたすらクールなマックィーンのフランク・ブリット、片や多弁で人間臭いジーン・ハックマンのポパイことジミー・ドイルという対照的な人物像、激しいカーチェイスも、この映画はクールだが、『フレンチ・コネクション』は泥臭い。

 嫌味な政治家役のロバート・ボーン、いい上司役のサイモン・オークランド、タクシードライバー役のロバート・デュバル、またも相棒役のドン・ゴードン、医師役のジョーグ・S・ブラウンなど、脇役が皆いい味を出していた。この時期のジャクリーン・ビセットは本当にきれいなのだが、映画全体から見ると中途半端な役でちょっとかわいそうな感じだ。

名画投球術 No4.「男もほれるカッコいい男が観たい」スティーブ・マックィーン
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c2d19a8408e75870e3711cd9305ab295

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アクション映画洋画篇ベストテン2

2021-03-09 10:33:47 | 俺の映画友だち

自分が選んだベストテン(ジャンル別。順不同)は

『セブン・チャンス』(25)(コメディ)キートンの体技
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8780c2c26c656c1badd6f8e4bd29a9f3

『モダン・タイムス』(36)(コメディ)チャップリンの体技
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7c6832acf6b2b19c939bcbc8cf0dd6de

『ナバロンの要塞』(61)(戦争)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3f555f3affaf657fb8c2b3d904ef7c96

『大脱走』(63)(戦争)バイク
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/509d44d9384caa6d0e97d3ab35ad3dc9

『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)(戦争)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7d57c3db2d32ca7f5e6d6adf4f9d7bbb

『駅馬車』(39)(西部劇)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f8029544871d694012cb314047202d2c

『荒野の七人』(60)(西部劇)ガンプレー
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a728ce84e41c33880e0d9a24953de1ab

『フレンチ・コネクション』(71)(カーアクション)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/08619e8d6689725eb57dd4fac71876fc

『ブリット』(68)(カーアクション)

『燃えよドラゴン』(73)(カンフー)ブルース・リー!

 何をもってアクション映画とするのかで随分迷った。結果的にスティーブ・マックィーンの出演作が3本も入った。好みの問題もあるが、やはり俳優(スタントマン)の力は大きいのかなと改めて感じた。選外になったが、『ミッション:インポッシブル』シリーズのトム・クルーズもすごいと思う。おっと、ハロルド・ロイドを入れ忘れた…。

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アクション映画洋画篇ベストテン1『ダイ・ハード』

2021-03-09 10:18:13 | 俺の映画友だち

 さる映画同好会で行った「アクション映画洋画篇ベストテン」のアンケート結果が発表された。最多得票を集めたのはジョン・マクティアナン監督の『ダイ・ハード』(88)だった。

『ダイ・ハード』(88)(1989.10.8.)

 誰に聞いても「あーあの映画は面白かった」と異口同音に答えが返ってくるような映画は珍しいが、この映画は、間違いなくその中の一本に入るだろう。まるで『タワーリング・インフェルノ』(74)を、主人公が一人でやってしまったようなこの映画は、文句なく面白かったし、最後まで引き付けられた。

 それにしても、昨年の『ロボコップ』(87)同様、日本ではアニメでしか表現できないような荒唐無稽な世界を、こうしてちゃんと実写映画として目の前に示されると、使うところにはちゃんと金を使って結果を出す、という意味では、さすがはハリウッドだという感じがした。

 日本は、やれ経済大国だ、バブルだのと言っても、結局は無益に金を使い、うわべのぜいたくさに満足しているだけのように見えて情なくなる。この映画で描かれたように、経済力だけで外国に高層ビルを建てても、それは中身のない見せかけの華やかさでしかないのだ。

 日本を描いた最近の『ガン・ホー』(86)『ブラック・レイン』(89)、そしてこの映画の奥には、そうした歪みが描かれていると思う。とは言え、そうした奥の部分を差し引いても、この映画が持つテンポの良さ、緊迫感、伏線の張り方のうまさは素晴らしい。

 また、テレビの「こちらブルームーン探偵社」での、ひたすらうるさくて軽い探偵役のブルース・ウィリスが、こうしたハードな役を見事に演じたことにも驚かされたが、そこには製作側のイメージギャップを狙った配役、という意図もあったのだろう。

 そして、この映画に深みを与えているのは、主人公のマクリーンとたった一つの無線機で結ばれ、やがて絆を深めていく、不遇だがひとのいい黒人警官パウエル(レジナルド・ベルジョンソン)の描き方だろう。彼の存在が、この映画をただのアクション物から一段上へ押し上げたと言っても過言ではない。

 そんなこの映画は、最後には正義が勝ち、夫婦は仲直りをし、黒人警官は自信を取り戻す。つまり現代流のクリスマスの奇跡話なのだ。激しいアクションの奥に、それを潜ませたところが粋なのだ。「ダイ(大)ハード」という語呂合わせも楽しい。

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