つじつま合わせが下手過ぎる
ある時点まで何度も時間が巻戻るリバイバル(再上映)という現象に巻き込まれた主人公(藤原竜也)が、現在(2006年)と過去(1988年)を行き来しながら、過去の連続児童殺人事件の謎と真犯人に迫る。
この映画もまた、最近流行の、漫画→テレビアニメ→映画という形態の一環。
映画の「テーク~(撮り直し)」を利用すれば、現実にはあり得ない、同一人物による幾通りもの現在、過去、未来を描くことが可能になる。
その点、タイムトラベルものは、映画向きの題材ではあるのだが、そこに説得力を持たせるには、ディテールへのこだわりやつじつま合わせが不可欠になる。
この映画の監督はテレビドラマ「JIN-仁-」の平川雄一朗だから、漫画が原作のタイムトラベルものは得意なはずと思いきや、つじつま合わせが下手で、現在と過去とのつながりや対比がうやむやになってしまう。
加えて、主人公が過去を変えたことで起きた現在の変化の様子の描き方も中途半端。真犯人はすぐに分かってしまうし、藤原と石田ゆり子がとても親子には見えないのも難点。
原作漫画が未完のうちに映画化したということは、ある意味描き方に幅ができたはずなのだが、原作未読の者から見ても、ラストの決着のつけ方はかなりひどいものとして映った。
タイムトラベルものは、もともと現実離れをしているだけに、中途半端な作りでは余計にあらが目立つことになる。