「おばさま。一つだけいいですか?」
「おや。雫さん。まだ何かあるの?」
「はい。よろしいですか。」
「いいわよ。なんなりと。」
「ありがとうございます。では・・・。司朗さんはドイツに留学していた時の話はなさらなかったのですか?」
「ドイツへ留学していた時の話・・・。」
私の見間違えかもしれないけれど、おばさまの表情が一瞬硬くなったように見えた。でも、すぐに穏やかな表情になり
「そうねぇ。最初の頃は言葉と食べ物でとても苦労したと言っていたわね・・・。」
すると、海外で暮らしている天沢君が、「あっ。そうそう。海外で暮らす時って、ほんとそれが一番大変だったなぁ。それと、水も合わないからねぇ。水道水が直接飲める日本って本当にすごいんだなと改めて思ってしまうよ。」と、言った。
おばさまは天沢君の話を聞きながら、何かを考えていたみたいだったけれど、
「う~ん。司朗さんから話は聞いていたとは思うのだけれど、もうずいぶん昔の事だからねぇ・・・。すっかり忘れてしまったわ。 期待に応えられなくてごめんなさいね。」
「あっ。いえいえ。ありがとうございます。」
これ以上聴く事のできない事なんだと思った私は気持ちを引きさげた。でも、それは、時間が経てば分かるかもしれないという希望と、もし分からなかったとしても、喉の奥に引っかかった小骨は私の中でゆっくりと消化すればいい事なんだと思ったからだ。
「おや。雫さん。まだ何かあるの?」
「はい。よろしいですか。」
「いいわよ。なんなりと。」
「ありがとうございます。では・・・。司朗さんはドイツに留学していた時の話はなさらなかったのですか?」
「ドイツへ留学していた時の話・・・。」
私の見間違えかもしれないけれど、おばさまの表情が一瞬硬くなったように見えた。でも、すぐに穏やかな表情になり
「そうねぇ。最初の頃は言葉と食べ物でとても苦労したと言っていたわね・・・。」
すると、海外で暮らしている天沢君が、「あっ。そうそう。海外で暮らす時って、ほんとそれが一番大変だったなぁ。それと、水も合わないからねぇ。水道水が直接飲める日本って本当にすごいんだなと改めて思ってしまうよ。」と、言った。
おばさまは天沢君の話を聞きながら、何かを考えていたみたいだったけれど、
「う~ん。司朗さんから話は聞いていたとは思うのだけれど、もうずいぶん昔の事だからねぇ・・・。すっかり忘れてしまったわ。 期待に応えられなくてごめんなさいね。」
「あっ。いえいえ。ありがとうございます。」
これ以上聴く事のできない事なんだと思った私は気持ちを引きさげた。でも、それは、時間が経てば分かるかもしれないという希望と、もし分からなかったとしても、喉の奥に引っかかった小骨は私の中でゆっくりと消化すればいい事なんだと思ったからだ。