今日の富士山 凍えているようです。
昔電話は緊急事態を報せる道具だった。
余程の用事の無い限り夜中に黒電話のベルは鳴らなかった。
夜中の電話は、悪い出来事の前兆。不吉なベルの音。
ジリジリーンと鳴ると、また誰かに不幸な出来事が起こったのかと、胸騒ぎがする。
歌の文句にあるように、夜中に電話を掛けるのは、悪い癖。
昭和30年代の夜の電話の呼び出しは、大抵は、危篤とか、死亡とか、良くても、大怪我をしたとか、明日の朝まで待てない急ぎの用件だった。
赤紙を配達する係だった人の話を聞いたことがある。苦悩の連続の毎日だったと言う。
私も、いつも不幸を報せる役割を果たしていた。
直接の用件を言わなくても、「○○○から電話がありました。電話をして欲しいそうです。」と伝えるだけで、ワァーと泣き出したおばさんもいた。
子供心にも、実家に不幸が有ったのだなと理解できた。たまらない重苦しい、お使いだった。
少しおませな気持ちにさせてくれる呼び出し電話もあった。
近所のお姉さんの所にいつも掛けて来るお兄さんの電話。
毎日熱心だった。
電話は玄関にあったので、私が勉強をしている板の間から筒抜け。
聞き耳を立てていなくても、「愛しているには、愛しているんだけど..」と切ない会話。
その後二人はどうなったのか、私は覚えていません。
楽しい電話のエピソードもあります。
私が産まれた時、祖父が、母の実家の伯母に電話をしました。交換手が電話に出ると、相手を確かめもせずに、Г俺の家で女の子を拾った。花火を上げる。」とだけ言って切ってしまったそうです。
「おかしいですね。男の子ならともかく、すごく喜んでいましたよ。」と伯父に伝えると、「上に男の子が三人もいるんだよ」と答え、その話は以後ずっと語り継がれています。